トップ>旧道電撃ネットワーク>山陽>山口>矢地峠 |
|
矢地峠(3) ★★★ |
|
矢地峠の前説 内陸部から周防灘へ向けて雪崩れ込む道はどれもその昔は険しかったようで、今でも各路線に当時の面影が残っている。近年はどこもトンネルによって安全かつスピーディーに通されていて、各地に誕生した旧道は現在ほとんどが使われる事なく、静かな余生を送っている。ここ矢地峠も他聞に漏れず平穏な第二の人生を送っている峠のひとつで、細々と地域密着型道路として今でも供用されている。そこに僕は道路の桃源郷を見た。
|
|
|
ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR 矢地峠の魅力は単なる石垣だけに留まらない。村外れで一旦は姿を消したはずの電柱が、再び峠手前で姿を現し、旧道と合流し矢地峠を越して行く。それが単に峰を越すだけでなく、峠にてしっかりと仕事をしていた。矢地峠には人家があるのだ。それもたった1軒。なんとこの家は旧道と化した今でもこの地を離れる事なく生活を営んでいるのだ。狭く薄暗い切り通しの矢地峠だが、一歩 |
|
ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR 抜け出せばそこは日当たりの良いなだらかな丘のような斜面が続いていて、そのほぼ全てが段々畑となっている。2階の窓からは布団が垂れ下がり、日当たりの良さは抜群で、この人家の立地条件は非常に良い。どのくらい前からここに住居を構えたのかは定かでないが、建物を見る限り屋敷という感じはせず、せいぜい築50年程度の造りであるが、立て替えた可能性も考えられる。 |
|
ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR 昔から栄えていた周防灘から比較的近い場所にある矢地峠に茶屋の必要性は感じられないが、もしもこの峠に茶屋が存在したとしたら、この現存する民家が担っていたのではなく、峠の向こう側にあったはずである。今でこそ荒地や田畑となっているが、周防灘を見渡せるかも知れない立地条件の良さから、茶屋を営むとしたら海側ではないだろうか。それらしき更地も残っている。ただし |
|
ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR 現在の矢地峠に住居を構えるのは僅か1軒である。現役時代はそこそこ交通量もあっただろうが、今では1日の交通量が片手で足りるほどではないだろうか?なにせこの旧道沿いには矢地峠の1軒を除いて人家がひとつも存在しないのだ。大袈裟かも知れないが、矢地峠旧道はたった1軒の人家の為に存在している。言い換えれば峠の人家がある事によって矢地峠は廃道化を免れ、 |
|
ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR いまだに最低限の整備が成されているのではないだろうか。矢地峠を充分堪能し、人家の前から立ち去ろうとした瞬間、畑の中で何かが動いた。見ればしゃがんで草むしりをしている人家の主である。僕は挨拶をし、分かりきった事ではあるが、確認の為にここが旧道であるかを尋ねてみた。おばちゃんは語った。ここは旧道であると。ならばひとつ聞いておかねばなるまい。現在トンネルを |
|
ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR 抜けて行く路線バスが矢地峠を越えていたのかどうかだ。ここを路線バスが越えたのですか?3・2・1・キュー!「越えた!」もしかしてここにバス停があったのですか?3・2・1・キュー!「あった!」えんだーいあーうぃーおーるえーらーびゅーうー♪この狭い峠道を、石垣の切り通しを、人家の前に設置されたバス停の前を、路線バスが毎日休む事なく数往復していた。それもほんの |
|
ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR 数年前の話である。僕は今更ながら思った。これまでは旧道にこだわってきたが、現役の峠にも目を向けるべきではないかと。過去のものにこだわるばかりに、貴重なシーンを逃しているのではないかと。来年は現役の峠も視野に入れ、全国探索を敢行する事を、背後にある矢地峠のV字曲線に誓い、僕はこの地を後にした。 矢地峠2へ戻る |