ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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夜昼峠(3)

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夜昼峠の取扱説明書

夜昼というその名称も意味深だが、高度が低い割には難所という点も低い山が幾重にも連なる四国らしさが垣間見られ、他の地ではなかなか見られない光景が広がる。一般国道の旧道ではあるのだが、この地にとってはなくてはならない主要路線であり、道路の設計や付帯設備もそれなりに充実している。中でも特筆に値するのは峠に切り通しと隧道が連続する点だ。切り通しと隧道が並列して存在するのが一般的だが、ここは直列であるという点で極めて珍しい物件で、それも石垣の峠とレンガ隧道である。全国の名立たる特異点に一歩も引けを取らず、本日を持って夜昼峠は全国区の仲間入り確定である。

 

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切り通しの峠を抜けるとすぐに田畑が現れ、そこに見る作物から常時地主または小作人が峠付近まで通っている事が分かる。上り途中で感じていたうら寂しさとは裏腹に、峠を越した途端目にする全てのものに生が感じられた。白看や警戒標識などの道路遺構だけではない。田畑や電柱、そして人家までもがそこにあったのだ。生きている、夜昼峠は今でも生活道路として使われて

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いる生きた道なのだ。画像には民家が1軒しか写り込んでいないが両側には数軒の民家が点在し、またその先には大規模な集落も控えていた。峠を隔てて全く違った世界が広がっている。だから峠は面白い。針葉樹林に囲まれ視界が全く開けぬ鬱蒼とした雰囲気はどこへやら、そこにあるは広範囲に渡り切り開かれた緩やかな斜面で構成された麓と、どこまでも広がるみかん畑だ。

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その開放感とギャップに思わず笑みがこぼれる。旧道に入ってから初めて目にするまともな直線路から夜昼峠を振り返る。V字曲線の一番窪んだ箇所が峠で、そこ目掛けて電柱が一直線に建てられているとても分かり易い構図だ。現代の工法ならば当位置から峠まで電柱と同じく直登させたと思われる所を大きく迂回し、九十九俺で充分対処できそうなものをわざわざループと隧道という

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何とも手の込んだ手法で道を通したのは何故だろう?僕はそこに八幡浜のプライドを感じた。大洲市にとっても八幡浜市にとっても夜昼峠の整備は一大事業であったはず。そこで仲良く手を組み折半という事で工事に取り掛かれば、お互いがそれ相応の一定規格に基づいた道路になったはず。しかし地形や地質によって難易度が異なる為当然工費には差が出る。どちらがどれほど

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負担するのかで交渉は難航を極めた。結論の出ぬままただ時間だけが過ぎて行く。長引く会議の席で大洲の煮えきらぬ態度についに八幡浜の土木部長は切れた。なんといきなりサソリを飲み込んだではないか。突然の真珠湾口撃であった。その場に同席した誰もが面食らったが、大洲の土木部長も負けてはいなかった。こちらも負けじとドライアイスを口に含み迎撃体勢に入った。

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その後も片やケツ筋で箸を割ったかと思うと、額にくっつけたビールをジョッキに注いでみたりと先の見えない泥沼合戦となったが、最後は八幡浜土木部長渾身の力作、自分で自分のモノをくわえる秘儀輪廻転生が満場一致により八幡浜に軍配が上がる。その一部始終を記録したフィルムが明治天皇の下に届けられたのは6日後の事である。天皇陛下の「これはCGか?」の問いに

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宮内庁「いえ、ほんまもんです」その後陛下の鶴の一声で八幡浜側に国家から大幅な予算が計上される。そうしてそれまでの概念を根底から覆すループとレンガ隧道という前代未聞の偉業を成し遂げ、ここに電撃ロードが誕生した訳だ。イクナ酷道夜昼峠、時代は平成へと移りイクイクプッツン酷道として近年見直されつつあるようだ。

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