ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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千賀居隧道

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千賀居隧道の取扱説明書

ループ、それは地図上からも確認できるが、実際に現地でクルクル回ってみて感動さえ覚えた。現在でこそループで高度を稼ぐという手法は一般的だが大昔からループという概念が存在していたとは驚きである。今でこそループを当たり前に見る時代だが当時は画期的だったに違いない。九十九俺ではなくループという大胆な発想、それでいてレンガ隧道という気合の入れ様に僕はただ唖然とするばかりであった。明治時代のレンガと石を組み合わせた隧道というだけでも価値ある物だが、ここはループというオマケまで付いている。日本の道路史においてかなり重要な物件に該当する千賀居隧道は文句なしのお宝物件である。

 

千賀居隧道

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

峠から下り始めてすぐ、今にも朽ち果てそうな勢いの白看を発見する。そこは両脇が竹林に覆われていて別段珍しくもない光景に、素通りするのが一般的だ。よって予め地図を確認し、峠を越えるとすぐにループに差し掛かると分かっていながらも、注意深く周囲を見ていないと、いつの間にか千賀居隧道の坑門が見えてきて、そこで初めて自分がループっちゃってる事を知るのである。

千賀居隧道[ORRの道路調査報告書]

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ループの規模としては国内でも最小クラスで、それはほんの一瞬の出来事で、それは白昼夢というかキツネにつままれたような感じなのだ。白看を過ぎ真っ直ぐに下るのかと思いきや、すぐに右へカーブし始め、この旧道の事を何も知らずに訪れた方ならば、次は左にカーブすると思ってしまう所を、尚右へ右へと進み、あらっあらっ?と何が起こったのか一瞬理解不能状態に陥る。

千賀居隧道[ORRの道路調査報告書]

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そして目の前にズドーン!と現れるは明治のレンガ隧道だ。ヨ・ル・ヒ・ル・ズ・イ・ド・ウ!てってけてっててーてーてー♪大山のぶ代さんのアナウンスと供に現れたるは夜昼峠に現存する古隧道。真上に今来た道が通っているにもかかわらず、上から確認し辛い事によって、まさかその先にループえ〜んどお宝隧道が連チャンで出現するなんて、いくらヒルズ族と呼ばれる

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セレブな僕でも予想だにしない展開であった。これほどの急展開を事前情報無しで予測できるとしたら3万円で取得可能と言われているパシフィックウェスタン大学博士号所持者しか考えられない。初回の衝撃も然る事ながら今回もその衝撃は全く衰える事を知らなかった。今回も不意打ちに遭ったようにまんまと夜昼トリックに引っ掛かってしまった訳だが、僕が若年性痴呆症という

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事を差し引いても充分おつりがくるほど巧妙に仕掛けられた道路トリックがここにある。歌舞伎町をうろついていたら、いつの間にかぼったくりバーで飲んでいたみたいな、会計でゴツい黒服に囲まれて、あらー?みたいな。そんな哀愁漂う千賀居隧道だが、その短さというか、勾配を緩める為の副産物的な要素からか、ド派手な装飾は受けていない。よって印象も随分大人しく

千賀居隧道[ORRの道路調査報告書]

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感じられる。坑門は笠石と四重巻きリングアーチのみと至ってシンプルでアーチ環の垂直面は石積みとなっている。当然表層(スパンドレル)はオールレンガだ。また両脇側溝付近の内壁垂直面にも石が組まれている。坑門上部に大きな歪がありプチ崩壊が心配される。その他大きな欠損部分はなく、現役バリバリと言って差し支えない状態だ。大型車が余裕の大断面、ここをどれほどの

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車両が抜けていったのだろうか?峠を切り通しにしたのに、わざわざその直後に隧道を突いてまで勾配を緩やかに保つ事に拘り、ループという新発想を取り入れた当時の関係者にはただただ頭が下がるばかりだ。その技術は現在全国に点在する巨大ループ橋へ脈々と受け継がれている。

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