ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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大峠(2)

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大峠の取扱説明書

全国に大峠と名の付く峠は数あれど、最も名の知れた大峠とは福島と山形に跨るこの大峠を指すのだろう。決して派手な訳ではなく、現役時代はかなり地味な存在であったと伝え聞く。僕はこの峠の現役時代を知らない。大峠越えがいかに困難であったのか、旧道となった今では想像するしか手立てはないが、かつてこの道に車両が通っていた時代の再現を試みたい。と、これまでも幾多の勇者達がこの峠に挑み、そして散っていった。他聞に漏れず若かりし日の僕も大惨敗を扮し苦汁を舐めた。だがこのまま黙って引き下がる訳には行かない。狙った獲物は必ず仕留める。だがやってやれない事もある。負け戦と知りつつも男なら逝かねばならぬ散らねばならぬ大峠。道路に人生を捧げた男の生き様を見るがいい。

 

大峠2-1/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

僕はこの道の現役時代を知らない。従って初めてこの峠道に挑んだ時には既に旧道化していて、威圧的かつ挑戦的ともとれる標識オンパレードに正直面喰ったのがまるで昨日の事にようだ。久しく訪れた旧道は何等変わる事なく、僕をいつものように迎え入れた。進入してはなりませぬと訴えかけつつも、ゲートが閉じていたためしがなく、冬期はどのような措置が講じられているのか定かで

大峠2-2/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

ないが、シーズン中にゲートが閉じていた事はただの一度もないのである。従って初戦は大いに沸いた。ゲートさえクリアすればこっちもの。この勝負もらったも同然。僕は勇躍して一路大峠越えに挑んだが、初戦は見事に散った。もっともその頃には僕の辞書にも不可能という文字が印字されていた訳で、大して悲観する訳でもなかったが、現道との起点から通行不能地点までの距離が

大峠2-3/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

長く、それを戻らねばならぬ事が腹立たしいというか面倒というか何ともストレスが溜まるのである。その原因は旧道の道程にある。これがもし万世大路のような逝き甲斐のある道であるならば、通行不能地点まで辿り着けた事に充分満足感を得る事ができ、帰り道もそれ相応のリスキーロードに対しいかに短時間で抜けるかなどの要素を盛り込むなど自分なりのアレンジの仕方によって

大峠2-4/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

駄目元であるにもかかわらず帰り道でさえ楽しめたりするものだ。それがどうだ、大峠に関しては苦痛以外の何者でもないのである。現道から枝分かれした旧道は当初追い越し禁止のセンターライン、つまりオレンジの実線により導かれる立派な2車線路でスタートする。それもしばらくして周囲に田園風景が広がる頃には白線の点線へと変わる。旧道脇には今でもおにぎりが設置されて

大峠2-5/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

いて、数箇所で確認する事ができる。地図を見れば分かるように、旧道は現在でも国道指定されており、地図上では国道を指し示す赤線で引かれている。但し現在は行き止まりとされる道であるが故に、対向車は限りなくゼロに近く、かつて宿場があったような集落も今では閑散としていて人の気配すら感じられない。その昔は多くの荷馬車が、またトンネル開通直前までは幹線路として

大峠2-6/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

多くの自動車が行き交っていたであろう道も、現在は悪戯に敷地を持て余すだけの、無駄な2車線路にしか見えない。そこからいつの間にか白線も消え失せ、センターラインの無い2車線路が続いたが、遂に1.5車線へと狭まると、いよいよ本格的な山岳道路への突入を予感させた。普通車同士の離合ならまだ何とかなる幅員も、次第にその自信も急速に失い、やがてどちらかが遠慮して

大峠2-7/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

下がらねばならぬほど、その狭さは所々で顕著に現れ、この峠が容易に越せるものではなかった事を如実に物語っていた。第一ヘアピンが現れると、そこからは堰を切ったようにヘアピンカーブの連続となり、九十九俺で一気に高度を増し、3桁国道にありがちな長く険しい山道が続いた。

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