ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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大峠(3)

★★★★★

大峠の取扱説明書

全国に大峠と名の付く峠は数あれど、最も名の知れた大峠とは福島と山形に跨るこの大峠を指すのだろう。決して派手な訳ではなく、現役時代はかなり地味な存在であったと伝え聞く。僕はこの峠の現役時代を知らない。大峠越えがいかに困難であったのか、旧道となった今では想像するしか手立てはないが、かつてこの道に車両が通っていた時代の再現を試みたい。と、これまでも幾多の勇者達がこの峠に挑み、そして散っていった。他聞に漏れず若かりし日の僕も大惨敗を扮し苦汁を舐めた。だがこのまま黙って引き下がる訳には行かない。狙った獲物は必ず仕留める。だがやってやれない事もある。負け戦と知りつつも男なら逝かねばならぬ散らねばならぬ大峠。道路に人生を捧げた男の生き様を見るがいい。

 

大峠3-1/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

雪の重みでだろうか、ガードレールが押し潰されるようにして曲がっていた。それはグニャグニャと表現して差し支えない程変形しており、波打つような形は豪雪地帯でお目に掛るもののそれだ。現役時代は当然冬期通行止であったと思われるこの峠道が、黒部立山アルペンルートの雪の大谷とまではゆかないだろうが、そこそこの雪の回廊が出来るほどの積雪は恐らくあるだろう。雑木林の

大峠3-2/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

斜面に今にも倒れそうなおにぎりを見つけた。これもあと何年持ち堪えられるのだろう。灼熱の太陽に照らされ、熱くてアスファルトへ直に座り込めないこの時期にありながら、そこで目にするものの全てが、閉ざされた時期いかにこの峠道が厳しい環境下に置かれるのかを痛切に訴えかけてきているように感じられた。車両が通れないほどの危機的状況は見られない旧道はどうやら

大峠3-3/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

必要最低限の管理が今でも成されているようである。四輪の轍がずっと続いているし、崩れた土砂を退かしている箇所もあった。とにかく四輪さえ通せれば良い、そんな感じが見受けられる。九十九俺で一気に高度を稼いだ後は随分状況が落ち着いてきた。成層圏に入ったのか直線区間も多く見られるようになり、のどかな雰囲気で一時は荒れ狂ったように旋回を繰り返した旧道も穏やかな

大峠3-4/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

表情を取り戻した。見渡す限りの山並みをほぼ捉える大パノラマは、対向車が無い事を前提の今ではじっくり堪能する事が可能だが、現役時代こうはゆかなかったはず。恐らく今回の取材を最後に二度と来る事はないであろう旧道の姿を、しかとこの目に焼き付けるべく僕はコーナーを曲がるたびにシャッターを切った。今日を逃したらいつ来るのかと思えるほど、その日は朝から澄み切った

大峠3-5/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

青空が広がり、恐らく越えられないであろう峠を早朝から目指した訳だが、流石に帰りは全速力で抜け切りたい。ここまで見てきてお分かりのように、1.5車線のアスファルトは僕が求めるような道の云わば対極に位置する道であり、これが面白くないったらありゃしない。ワクワク感はぶっちゃけゼロ。途中におにぎりを見つけられたからまだ救われたが、現役の3桁国道を走っているような

大峠3-6/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

錯覚に陥るこの旧道に、僕は全く気持ちが入らなかったし、それはこうして執筆に取り組んでいる今に至っても全く変わる事はない。何故だろう?その理由を列挙してみたい。抜けられない、舗装路である、アプローチが長過ぎる、景色が単調、馬車道時代の石垣などがどこにも見られないとか細かい事挙げたらキリがないのだが、これで路線バスが走ってましたよなんて言われた日には、

大峠3-7/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

全てが相殺されるのだが、そんなの聞いた事がない。だいたいどこにバス停を設置するんだ?峠以外にバス停など置く必要がない。ブツブツ文句を垂れつつも念の為大峠バスで検索。ROADweb国道121号大峠道路史。フムフム・・・えっ?バス走ってるよ〜!連なってるよ〜!

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