ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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間瀬隧道

★★★★

 

間瀬隧道の取扱説明書

新潟には重要な物件が数多く存在するが、またひとつ貴重な隧道を発掘してしまった。隧道としても近代土木建築遺産としても価値のある県道55号線の間瀬隧道は今のところ無名ではあるが将来脚光を浴びるかも知れない隠れた名所と言える。

 

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どうしたらここまで荒廃してしまうのだろう。足元の硬さからは確実にアスファルトだと分かるのに目の前には草原が広がるばかりである。倒木、泥田、藪漕ぎ区間を抜けやっと目の前にお目当ての間瀬隧道が姿を現した。この位置からは斜めに開く小さな穴というだけでどれ程の物件なのかはまだ分からない。コンクリのようにも見えなくない。密林を掻き分けた先に

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ぽっかりと間瀬隧道が口を開けて我々の到着を待っていた。コンクリか?リングアーチだけはしっかりとした石組みである事だけは遠目からでも分かった。しかし坑門前が池と化していてなかなか近付く事が出来ない。仕方なく泥の中を歩いて接近を試みる。改めて間瀬隧道を目の前にして僕は大きく溜息をついた。レンガだ!期待していなかった物件だけに

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お宝隧道であった事で興奮度は一気に高まった。当初コンクリかと思っていた坑門は全面レンガ積みだったのだ。あまりにも凹凸のない坑口表面と光を通さない鬱蒼とした森が坑門表面をコンクリのように見せかけていたのだ。笠石、扁額、リングアーチと装飾は一通り備わっていて勿論表層は全てレンガである。扁額は解読可能で保存状態は極めて良好である。

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坑門は竣工時から全く手が加えられた様子は無く、ほぼ原型を留めた状態で廃道と化したようだ。何故ほぼという表現をしたかと申せば内部が滑らかなコンクリによって覆われていたからだ。後年内壁に補修工事がなされたのではないかと考えられ、部分的に改良が加えられた可能性は高い。内部の幅員は微妙で普通車同士の離合が不能であったと思われ、

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大型車1台が余裕を持って通れるという幅員だ。照明設備は一切なく徒歩での通過は正直辛い。隧道を抜けるとジメジメとした向こう側とは対照的に明るい陽射しに包まれてカラッとしていた。こちら側の坑門は日当りが良く日焼けしているからか白っぽく見え、表層がレンガである事はかなり遠目からでも認識できた。リングアーチはもどきではなく完全に

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石が埋め込まれていて間瀬隧道はまさに本物の隧道だ。これで内部の改修を受けておらず内壁がレンガで巻かれていたら完璧であった。それでも全国クラスの大物に変わりはない。両坑門共に同じ造りであるが表層の色がまるで違い別物のように見えるのが面白い。両側共に隧道を抜けると幅員は広く坑門手前で対向車を待っていたのだろう。決して交通量が

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多いとは言えない間瀬峠に新潟の隧道では平均以上の充分な大きさを持つ間瀬隧道が廃止されたのは謎である。間瀬隧道の保存が目的なら理解できるのだが。まあしかし坑門は全くの無傷でしかも直接封鎖される事なく分岐に車止めを設けただけの措置は本当に有難いと言える。爆音を鳴らす珍客に目を覚ましてしまったようだが、間瀬隧道は再び静かな眠りについた。

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