ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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雛鶴隧道

★★

 

雛鶴隧道の取扱説明書

県道35号線雛鶴峠に旧道があり、峠は隧道で越えている。その事に気付いたのは世紀末も近しという時期であった。19863月に新雛鶴隧道が開通してかなりの年月が経過しているだけに予断は許さないが市販の地図に描かれている以上、もしかしたら現在でも通り抜け可能かも知れないという僅かな望みを託し雛鶴峠へと急行した。

 

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極寒の雛鶴隧道敗退から季節は巡り暖かな陽気の中僕は雛鶴隧道の再取材を敢行した。それは雪化粧された坑門では没ネタだし、もしかして旧道だけ冬期閉鎖という可能性も捨て切れなかったからだ。勿論その場合は現道との分岐で冬期閉鎖を知らせるなりチェーンゲートなどの措置が取られるとは思うのだが、ゲートが開いていたらラッキーという気楽な構えで

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現地へと向かった。旧道はすっかり春めいていて前回とはまるで様子が違った。あっと言う間に雛鶴峠に達し、前回は気にもしなかったが稜線までは果てしない高さがあった。峰越えには無理のある地形につき、ここに隧道を突くという判断に選択に余地はなかったようだ。よって雛鶴峠を初めて自動車が越えたのは雛鶴隧道で間違いないようだ。雛鶴隧道は残念ながら

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雪化粧が落とされただけでゲートが開放されているという淡い期待は叶わなかった。坑門はかなり重厚なコンクリで覆われており、恐らく初代ではなく二代目だと思われる。坑門は下が張り出しており門全体を斜めに倒す事により風雪に対する効果を期待しての構造だろう。扁額も設置されておらずひたすら機能だけを追及したシンプルな形状で坑門自体に見るべき

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点はない。内部も完全なコンクリ製で割としっかりとした造りで周囲の頑丈な構造と合わせてもこの先落盤などの危険性は少ないと思われ封鎖する必要性は全く感じられないが、新トンネルがある以上雛鶴隧道はお荷物という扱いなのだろうか?内部は完全1車線で大型車1台がピッタリサイズで、当然隧道手前で対向車を待つ事になり内部離合不能状態であった事が

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新トンネル建設最大の理由であるようだ。隧道手前はかなり広めに取られていて離合はスムーズに行われていたようだが、峠越えの厳しい道程と合わせて長いトンネル手前で対向車待ちという状況を現在の交通事情が許さなかったという事だろう。それにゴルフ場開発やリニア実験線建設が後押ししたようだ。今度は反対側を見てみよう。こちらもコンクリ仕様では

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あるのだが、明らかに年代が違う。また重厚な造りの反対側とは全く異なる造りで、岩盤を突いた坑口のほんの僅かコンクリで化粧しているだけの状態で、青白くひからびたその姿はまさにミイラである。表層は剥がれ落ち損傷が著しい雛鶴隧道坑門。笠石、リングアーチ、扁額と装飾もそれなりに施されている。中でも扁額だけが異常に浮き出ているのが特徴的だ。

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反対側とは明らかに異なる坑門であるがこれが初代の姿かと言えばそうではない気がする。継ぎ接ぎだらけの坑門には何度か補修された痕があり、果たして今我々が見ているこの坑門が初代に薄化粧した程度のものなのか、それとも全く違った形をしていたのかは現時点では不明であるが、これはこれで非常に不気味であり、なかなかの力作だと思う。

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