ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

トップ>隧道電撃ネットワーク>東海>静岡>青田隧道

青田隧道(2)

★★★★

 

青田隧道の取扱説明書

市販の地図にはその存在がはっきりと記されており、その線形も非常に分かり易く、青田隧道は誰でもいつでもどなたでも発見は容易であり、これを見過ごすようではハンター失格である。東名高速のインターを降りて僅か1分という抜群の好環境に眠るレンガ隧道は、恐らく竣工後1世紀近くも経ているはずなのに、今尚現役の道路として職務に就いているのには頭が下がる。現場の状況を見る限り、まだ引退するつもりはないようなので、少し安心した

 

image001

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

現代では然程珍しくもなくなった数km級の長大隧道も、その昔は技術不足から突く事など夢のまた夢であった。従って限りなく尾根に近づけておいて、出来るだけ短い穴を突くという戦法が用いられてきた。その後次々と掘削される新トンネルは、昔ほど嵩上げする必要も無く、難なく長大隧道をぶっこ抜く。という訳で旧隧道が上方に位置し、新トンネルは下方にあるというのが一般的なのだ。

image003

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

勿論新旧隧道が並列している場合はその限りではないが、ここ青田隧道は従来のパターンを覆す新旧逆転現象が起きていたのである。それはなんと市販の地図上からも読み取れるのだ。地図上でも現トンネルの倍以上の延長距離を有する青田隧道。測った訳ではないのでパッと見の印象でしかないが、その距離は実に現トンネルの3倍はあろうかという長さであった。

image005

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

それも現トンネルの下である。そこから学生達がチャリで平然と抜けてきたのだ。普通は並列の隧道以外ほとんどは旧道の方が分岐点より高い位置にある為チャリや歩行者は息が切れるはずなのだ。しかし彼等はしゃーしゃーと涼しげな顔をして通り過ぎて行く。やはり旧道は分岐点より先上を目指す気はさらさらないようだ。ほとんど高低差のない旧道を進むと前方に小さな穴が現れた。

image007

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

と同時にこの先トンネル内は車のすれ違いができませんという看板が立っていた。わざわざ看板が立て掛けてあるって事は無理を承知で内部離合を果たそうとしたチャレンジャーが過去にいたって事か?普通車同士の離合がなんとか可能なのは坑門手前までで、そこから先は大型車1台がやっとの狭い穴となる。坑門は味も素っ気も無いもので、装飾はリングアーチ以外には何もない。

image009

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

アーチより上部は元々存在しないのか崩壊してしまったのか分からないが、ぺしゃんこになっていて、アーチの真上は雑木林の斜面となっている。なんと言っても笑えるのが、通常なら迫石が嵌っている部分に、照明が設置されている事だ。この概観を無視した機能美にはあっぱれであった。そのまま足を一歩中に踏み入れると、笑えない現実がそこにはあった。内壁がレンガなのだ。

image011

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

青田隧道がレンガ製である事を、ネオン管に照らし出された内壁ははっきりと示していた。極太の鉄パイプと両側面はライナーによって覆われているが、アーチ部のみ地肌が露出し、そこには赤茶けたレンガが顔を覗かせていた。再び坑門を見れば、それまで太陽光の加減ですれたコンクリのように見えていたものが、実はレンガである事に遅ればせながら気付いた次第である。

image013

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

洞内中央付近には側面も開放されている箇所があった。反対側の坑門もコンクリのように見え、実際にコンクリで一部補修されてはいるが、こちらも坑門はレンガ積みであった。チカンに注意不審者見たら110番の看板が掲げてあったので、単独での長居は無用であると判断し、僕は速やかにその場から立ち去った。(←どう見ても不審者)

青田隧道1へ戻る

トップサイトナビゲーター管理人について感想・お問い合わせ