ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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大峪隧道

 

大峪隧道の取扱説明書

19839月新大峪トンネルの開通によりその役目を終えた大峪隧道は当初一般的なコンクリ隧道かと思われた。しかし竣工年が何とも微妙で、現在見ている大峪隧道は改修後の姿である可能性が高い。掘割に残された石垣からも初代がコンクリ隧道とはとても思えないのだ。評価はあくまで現状のみで片面だけでも初代の姿が残っていれば、またそれを期待させるような遺構が少しでも垣間見られれば若干色を付けても良かったが、それなりの評価に落ち着いた。

 

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くそ長い道程も遂に終わりの時がやってきた。思えばこの隧道を目的としここまではるばるやってきた訳だが僕は大峪隧道を見てがっくりきてしまった。どう見てもコンクリ隧道なんだよな〜。隧道手前は対抗車を交わせる程度の幅員が確保されているが駐車スペースなどは全くない。なんと言っても密度の濃い杉林に阻止され本来見えるはずの下界の様子が全く見られないのは痛い。

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当然鬱蒼とした森の中にぽっかりと穴が開いているだけで、上を見上げても稜線までは見えずどの位の位置に突かれた隧道なのかも把握できず、全くもってなんだかな〜な大峪峠である。ここにある人工物と言えば隧道だけで茶屋跡でもあれば少しはネタにでもなりそうだがそんなスペース自体がない。他には一切人工物はなく、ただひたすら越えて行くだけの峠であったようだ。

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掘割の石垣だが随分立派な造りで打込ブギであろうか、しかし掘割が石垣で隧道はコンクリなんだ?隧道のみ後年改修されたか?否、よ〜く見るとそうではないらしい。コンクリ隧道ではあるが何か変だ。接近して見た大峪隧道の坑門はコンクリではあるが表情がある。無機質な現代のコンクリとは質が明らかに異なっていた。

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装飾は笠石と扁額のみで至ってシンプルな造りであるが、これは昭和中期かそれ以前のもかも知れない。これはもすかしてもすかするかも。コンクリの表層が剥がれ落ちているが、なんとそこに銘板が埋め込まれているではないか!錆びまくっているが何とか判読できた。昭和一一年七月とある。

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僕の読みよりも微妙に古かった訳だが昭和初期にコンクリ隧道が、それもこんな山奥に存在していたのだろうか、それともこれは改修後の姿なのだろうか?表層のコンクリが剥がれ落ちた箇所を見てもコンクリの塊であった。それが石組みとかレンガだとスクープにでもなったがコンクリの下はコンクリというぺこちゃん飴状態となっている。内部は路面も含めてシャープなコンクリ仕様で昭和初期のものではなく後年改修されたようだ。

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結構な距離があるが照明はない。但し研ぎ澄まされ凹凸のない表層は現代のトンネルそのもので恐怖感は感じない。こちら側の坑門も実に微妙な状態だ。反対側と同型ではあるのだがリングアーチの存在が確認できる。しかしもう一度反対側を見てみるとぼやけながらもアーチは確認できた。結論から言えば大峪隧道の初代はコンクリの表層下に隠されている。

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現在見られる大峪隧道は初代に手が加えられたものに違いない。昭和初期でこの山中とあらばおそらく初代はテボッチャーに違いない。コンクリによる改修は早くとも戦後で、パッと見は最初に指摘したように昭和中期のものではないか。内部に至っては昭和後期の新トンネル切り替え直前かその数年前辺りかと推測するが、今回も謎は謎として大峪峠を後にした。

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