ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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三浦隧道(5)

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三浦隧道の取扱説明書

お宝隧道オンパレード地区に残されるレンガ隧道は、歩道への転用や町道格下げなど何等かの形で再利用されるケースが多い。ただ一部の隧道は封鎖や放置されたままなのも事実。ここ三浦隧道は封鎖ではなく放置である。従って今後世間の道路遺構に対する意識が変われば、行政が動きだし整備に着手して保存される可能性は大いに有り得る。今は現道からその姿を一瞬だけしか捉える事が出来ず、パッと見の印象としては超キモイ穴としか映らない。私的にはキモイままで良いと思うが、下手に封鎖されるくらいなら再整備された方が幾分マシかも知れない。

 

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

緑色したカーテンの隙間からジーっとこちら覗き込み、その様子を恨めしそうに窺っているかのような三浦隧道は、現道を通り過ぎ行く車窓から、ほんの一瞬だけその物悲しそうな姿を拝む事が出来る。車両が途切れる事を知らない現道のトンネルに、一昔とは違い多種多様な車両が忙しく出入りを繰り返す。

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目まぐるしく展開するその光景を、時代に取り残されもはやこの世のものとは思えない亡霊のように佇む間隣の老兵はいったいどのような心情で現道の浮世絵を眺めているのだろうか。盛夏の時期は完全にカーテンの向こう側へ隠れてしまうであろう三浦隧道ともそろそろ別れの時が来た。廃隧道という事もあり随分と長居してしまったが、僕等は何度も振り向きその姿を目に焼き付けた。さようなら三浦隧道。

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目の前の現道へ抜ければ任務は完了だ。ところがそうは問屋が卸さないのが世の常で、ここにも建設省の呪いが懸けられていた。新旧2本の坑門は約45度の傾きでほとんど寄り添う形で隣接している。従って現道には即抜けられるものと思い込んでいた。現道に最も接近した旧道の路面はコンクリが打ってある。にもかかわらずこのバカヤローがまたしても微妙な大きさの側溝をご用意して皆様のお越しを心よりお待ち申し上げておられたのだ。

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エレベーターガールは言う。左へ参ります♪何やってんだ三浦隧道、最後の最後で大ドンデン返しじゃねーか。なんか先頭を行くロリエさんが真っ直ぐ現道へ入って行かずに左へ消えて行ったものだから、旧道を正確にトレースするとかまた七面倒臭せー事しとるな〜と思ったら、現道との接点を見てあら〜!みたいな感じですわ。斜めに入ろうとすれば当然側溝の餌食になる訳だが、真っ直ぐに現道へと入れば渡れなくもない。

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但し引っ掛かって途中で止まる事は許されない。何せ現道を行き交う車両の妨害になるから、後輪が引っ掛かって身動きが取れなくなったなどの失敗は絶対に許されない。そんなんあった日にはトンネルを抜けて来る対向車もたまったものではない。

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真横を向いた単車の前半分がトンネルを抜けた直後の道路上に身を乗り出して停車している訳で、早めに気付いて急ブレーキ踏んで止まってくれればまだマシで、発見が遅れて慌ててハンドルを切り対向車線にはみ出して正面衝突でもされた日には我々が責任を問われる。またドライバーが全く気付かなかった場合、僕は死にましぇー!ドッカーン!みたいな感じで道の藻屑と消えて行く。

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我々は仕方なく側溝脇に僅かに残る旧道跡を正確にトレースする羽目に。当たり前だがもうそこは何十年も車両が通っていなかったらしく、我々は行き交う車両達に不思議そうな目で流し見されながら屈辱の中で伐採作業を行った。それは初めて降り立った駅前で人だかりを夢見てギターを一所懸命弾き語りしているのに誰も立ち止まってくれない、そんな甘酸っぱいデビュー戦のような感じでした。

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