ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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三浦隧道(4)

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三浦隧道の取扱説明書

お宝隧道オンパレード地区に残されるレンガ隧道は、歩道への転用や町道格下げなど何等かの形で再利用されるケースが多い。ただ一部の隧道は封鎖や放置されたままなのも事実。ここ三浦隧道は封鎖ではなく放置である。従って今後世間の道路遺構に対する意識が変われば、行政が動きだし整備に着手して保存される可能性は大いに有り得る。今は現道からその姿を一瞬だけしか捉える事が出来ず、パッと見の印象としては超キモイ穴としか映らない。私的にはキモイままで良いと思うが、下手に封鎖されるくらいなら再整備された方が幾分マシかも知れない。

 

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三浦隧道の内部では二箇所で大規模な落盤が発生していた。一箇所は発生して間もないのか、全く手が付けられた様子はない。もう一箇所は片付けられた跡があり、支保工ではないが丸太を2本宛がう事によって、これ以上の崩壊を抑えられている。これが三浦隧道の放棄理由其の二であると考えられるが、その状況を見る限り完全に見捨てられた訳ではなさそうだ。

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少なくとも現場の様子からは現状維持に努めるべく、明らかに素人ではなく関係者と思われる者の手によって最低限の施しをされた形跡が見られ、それは三浦隧道が何等かの形で今でも極一部の人間にとっては利用価値があるからに他ならない。その簡易処理を施した施工業者が坑門の先で特定される事となる。

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荒々しく削られた内壁の凹凸は激しく、それまで見てきた当路線における主要国道の落ち着いた隧道というイメージは脆くも崩れ去り、現在はそのほとんどが改修されてしまっている同期の隧道群も皆一様に、このような不気味な空間であった事に動揺は隠せない。慣れてしまえばそれまでなのだが、照明付きで凹凸のない表層を持つ現代のトンネルしか知らない者にとって、照明無しの凹凸の激しいテボッチャーは霊界への入口以外の何者でもない。

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当路線の隧道群がほとんど三浦隧道に準ずるものであるならば、歩道に転用され再利用されているものは全くの別物に生まれ変わってしまっている訳だ。そこはネオン管が均等に配され、昼夜を問わず昼間のように明るく、コンクリが噴き付けられた内壁からは、いくら凹凸があろうが恐怖感などは全く感じられない。しかしそれは現代風に何もかもが作り変えられた大改造劇的ビフォーアフターに過ぎない。見てくれ、この物悲しそうな隧道の表情を。これがホンモノのお姿である。

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ほぼこの姿のまま現役時代は供用されていたのだ。何も三浦隧道に限った事ではないのだが、その昔は歩行者から自動車までこの隧道1本で賄っていたのだ。まだ自家用車などというものが、一般大衆に普及していなかった時代であるから、主にトラックなどの商業車、バス、軍用車などの通行がメインで、交通量も現在とは比にならないほど極少であったと思われるが、この中を砂煙を巻き上げ車両が往来していたのである。

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坑内は離合ポイント無しの完全1車線であるからして、対向車を坑門前で待機し、やり過ごしていたのだろう。歩行者は地響きのように唸る轟音が迫るたびに、ただでさえ怖い暗闇の中で脅えていたに違いない。坑門間近になると内壁は再びレンガによって覆われるも、やはり白化が目立つ。

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当路線の旧廃隧道では必ずと言って良いほど見られる銘板が、ここにも例外無く埋め込まれていた。お決まりのカナ混じりの漢字表記は大変読み辛く判読が困難な状況にあったが、そこにはこう記されていた。シゴトシロシゴトシロ女房子供ガ泣イテルゼ。

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