ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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尾鷲隧道(1)

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尾鷲隧道の取扱説明書

お宝隧道量産ラインの中に薮を掻き分けずとも、走行中にチラっと確認できてしまうお手軽物件がいくつか存在する。その中でもオーラが出まくって恐れ多くて般ピーではとても近寄り難い隧道がある。その双璧を成すのが先に紹介した三浦隧道とこの尾鷲隧道である。中でも尾鷲隧道は今瀕死の状態にある。近い将来確実に通り抜けが不可能となる運命にあるのだ。それは早ければ来年かも知れない。どうにか持ち堪えて欲しいのだがその運命やいかに。

 

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

紀伊半島を周回する海沿いの国道を通るたびに、気になっていた隧道がある。そいつは常にハイペースで流れる国道脇に一瞬だけ姿を現し、それにはここを通る誰もが気付いているはずだ。だがそのブツには誰も触れようとはしない。例え視界にそれが入ったとしても見なかった事にしたい。そんな威圧的なオーラが感じられるのだ。その事を口にした瞬間から何か不吉な事が起りそうな嫌な悪寒がするのである。

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

従って今日までそいつを見て見ぬフリをしてきた。しかし当路線の隧道群を片っ端からやっつけてきて、とうとうこいつを調理しなければならない日がやってきた。出来れば近づきたくはなかった。そいつはいつも恨めしそうに現道を見つめているんだ。中には気付かないドライバーもいるかも知れない。むしろ気付かない方が幸せなのかも。だって一度気になったら夜も眠れないほどの容姿をしているんだぜ。

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

それは決して坑門のせいじゃないんだが、森にぽっかりと口を開けていて、それも車窓からだと一瞬しか映らないというのがミソなんだな。あったような無かったような、そんな微妙なさじ加減が恐怖感に一層拍車を掛ける。当路線を通るたびにチラっと一瞬だけ視界に入るそれは、まるでサブリミナル効果のようで、潜在意識の中に鮮明に焼き付き、気になって気になって仕方がないのだ。

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

そいつは直視できないほど恐ろしい姿をしていて、何の為にそこにあるのか、その存在自体が意味不明な点も恐怖感を増幅させる。勿論我々はそれが何故そこにあるのかを知っている。だが般ピーはそんな事知ったこっちゃない。この僕だってはっきりと意識したのはほんの数年前の事だ。それまで何度も通っているのに気付きもしなかったし、気付いた所でわざわざ確認しに行く事も無かった。

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

ORRとして調査を開始しても、ここは素通りであった。何故か?それは単純に怖過ぎるからである。だってさぁ、向こう側の明かりが、紙に鉛筆で点を打ったのと同じ大きさなんだぜ。どれだけ長いんだっちゅーの!しかしもうこれ以上先延ばしする訳にはゆかない。何故ならばこの隧道は今、封鎖されるか否かの大転換期に差し掛かっているからであり、通り抜け可能な隧道としての余命も幾許もないのである。

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

虫の知らせだろうか、そんな事とは露知らず、遂に探索決行の日はやってきた。現地へ到着すると、どう見ても峰越えルートは無理そうな急斜面の山塊の真下にぽっかりと口を開けているトンネルがある。それが尾鷲隧道である。現役の隧道でありながら、歩道は備えておらず、いつ新トンネル構想が持ち上がってもおかしくはない勤続年数を誇る。

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

その僅か数十m手前に問題の隧道は存在するのだ。ガードレールに阻止され通行止看板が立てかけられたその奥に、ターゲットは眠っている。眠れる獅子の眼を覚まさぬよう、忍び足で静かに近づく。その挙動不審な姿は、いつ職務質問されてもおかしくはなかった。

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