ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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尾鷲隧道(2)

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尾鷲隧道の取扱説明書

お宝隧道量産ラインの中に薮を掻き分けずとも、走行中にチラっと確認できてしまうお手軽物件がいくつか存在する。その中でもオーラが出まくって恐れ多くて般ピーではとても近寄り難い隧道がある。その双璧を成すのが先に紹介した三浦隧道とこの尾鷲隧道である。中でも尾鷲隧道は今瀕死の状態にある。近い将来確実に通り抜けが不可能となる運命にあるのだ。それは早ければ来年かも知れない。どうにか持ち堪えて欲しいのだがその運命やいかに。

 

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

旧道と現道を隔てる大きなU字溝と広がる段差によって分断される二つの路線は、一見なんの接点も無いように思える。それは旧尾鷲隧道の坑門が、現道に向かって斜め45度を向き、沿道すれすれに顔を覗かせている異様さも手伝って、何の為にそこに穴が開いているのか、普通の感覚ならば理解に苦しむ形状をしているからだ。

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新旧2本の間には、おにぎりとこの先2km徐行という標識が設置されていて、見る人が見ればそれは現道に対する旧道だと、瞬時に分かるものなのだが、般ピーの感覚ではせいぜいあそこにお化けトンネルがあるよと言われるのが関の山だ。だがそれは坑門を覆い隠す木々達が、恐怖感を1.5割増しにしているのであって、周囲の枝木を全て伐採してやって、嘘でもいいから歩行者専用トンネルと、看板を立ててしまえば、この路線に点在する再利用組と何等遜色はないのである。

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この国道に眠る大半のお宝隧道は現トンネルと並列か、もしくは少し奥まった地点に接続していたりして、ほとんどが目立たぬ存在なのであるが、ここだけは他の隧道群とは違い、言うなればはっきりとその姿が写ってしまった心霊写真のようなものなのだ。但しこの隧道で何かを感じるのかと言われれば、それはノーだ。パッと見の怖さではピカ一だが、一旦内部に足を踏み入れてしまえば、なんてこたぁないのである。

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坑門前のおにぎりは最新型のものであったが、徐行と書かれた標識はなんと旧道に対してのものなのだ。色褪せ具合からは相当昔に設置されたようで、旧道が現役時代の頃か路線切り替え後に設置されたものだとしても、数十年は経過しているように見える。道中の警戒標識はこれだけに留まらず、隧道を抜けた向こう側にも複数個設置されており、それについては後でじっくり語ろう。

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さて旧尾鷲隧道であるが、壁面はオールレンガで路面にはコンクリが打ち込まれており、また落盤も無く難なく走り抜ける事ができる。ガードレールで塞がれているくらいだから、てっきり内部は危険な状態なのかと思い、慎重に歩を進めたが、それは全くの杞憂に終わった。旧尾鷲隧道は封鎖するどころか、歩道に転用しても良さそうなほど良好な状態にあった。

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ここで入口に転がっていた丑の谷橋が危険と書かれた看板を思い出す。やはりこの先に架かる橋梁に何か問題が発生したのだろうか。旧尾鷲隧道の坑門は当路線に眠る隧道群と形状は瓜二つで、今更多くを語る必要はないだろうが、少しだけ触れておこう。上から笠石、扁額、リングアーチときて、表層はオールレンガである。アーチの石は先端が尖った五角形をしているのが特徴だ。

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坑内壁面には銘板が埋め込まれていて、当隧道が閉経しない限り、後世に渡りずっと旧尾鷲隧道の出生について語り続けるのである。レンガ隧道に銘板を埋め込むという発想は、当路線ならではと言える。

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