ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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野見坂隧道

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野見坂隧道の取扱説明書

新野見坂トンネルの竣工年が200112月だから、開通してまだ日が浅く、つい最近まで使われていたであろう旧道の隧道とは、どこにでもあるような極普通のコンクリ隧道であるとイメージしていた。だがそこで目にした物件は予想を根底から覆すトンデモナイものであった。それがつい数年前まで平然と使われていたとは俄かに信じ難い光景に、かなりの衝撃を受けたのはいう間でもない。

 

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ハッ!思わず僕は息を呑んだ。そこには全く想像していなかったものが、口を開けて待っていたのだ。もうそれは遠目からも一目でレンガと分かる赤茶けた表層をしていて、日中だからまだいいものの、少しでも陽が傾いていたら、近寄るのも躊躇うような様相を呈していたに違いない。なんという事だろう、野見坂隧道はレンガ製だった。

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勿論事前情報は仕入れていないからこの驚きは極々自然なものなのであるが、それにしてもこんな場所にレンガ隧道があるなんて夢にも思わなかった。考えてみればここはお宝隧道量産国道から目と鼻の先に位置し、いつその工法が飛び火してもおかしくはない場所にある。しかしここは県道であり、あちらは国道だ。管理者が違えばグレードも落ちる。なのにレンガ積みときたもんだ。坑門へ導く掘割の石垣もまた見事じゃないか。

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上から笠石に扁額にリングアーチ、アーチ環は先の尖った五角形の石が嵌めこまれ、中央にはどっしりとした重量感のある迫石が構えていた。完璧だよ、もう何も言う事はない仕上がりだ。表層は傷みこそ見られないものの、シミのようなものが広がっており、少々汚らしい感じがするが、そんな事は取るに足らぬ。門柱が無い事でやや重厚感には欠けるが、均整は取れており、充分に褒められていい造りだ。

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断面は竣工当時としてはやや大きめの部類に入るのだろうか、普通車同士の内部離合は許しているようだ。坑門手前に掲げられた多数の看板に内部離合が不能な事をほのめかすものはひとつも無かった。旧道と化してしまった現在では普通車同士の離合ももう滅多に見られない光景ではあるが、目測でそれは問題無しと見た。但し大型車が進入した場合はその限りではない。

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内壁は波打ってはいるが、コンクリの噴き付けで、多少滑らかとなったその表情は手掘りと違って非常に穏かである。竣工当初はテボッチャーかオールレンガ巻きであったと思われるが、出来れば当時のままであって欲しかった。残念だがそれはとっくの昔に改修されてしまったようだ。坑門から10m程度は今でも内壁がオールレンガ巻きとして残ってはいる。但しそれが結構な距離を有する野見坂隧道内壁全てを覆っていたかどうかは疑問だ。

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何せお宝隧道量産国道の隧道でさえ、一部テボッチャーが残っているくらいだから、もしもそれより格下の野見坂隧道が、手の込んだ造りをしていたとしたら、それこそ道類哀れみの令によって処罰対象となる。但し坑門の形状からして、後年になって拡幅されたとは考え辛く、計画当初より将来を見据えた規格で着工された事は、国道以上の大断面である事から間違いない。

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国道上に点在するお宝隧道の竣工が、大正時代に集中している事から、野見坂隧道の竣工は大正末期から昭和1桁あたりではないだろうか。もう少し着工が遅れていれば、コンクリ隧道となっていたのかも知れない。

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