ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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花山洞

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花山洞の取扱説明書

日本の大動脈を成す国道1号線沿いに全くその存在を知られる事なくひっそりと佇む小さな隧道がある。現在は計4車線で何とか捌いている東山トンネルもかつてはその小さな隧道ひとつで捌いていたとはとても信じ難いのであるが、それだけ日本のモータリゼーションが近年急速に発展したという事なのだろうか。もしそうだとしたらそれらを比較対照し語る上でも大変貴重な物件と言える花山洞。現在はほとんど無名に近い存在だがいつの日かその扱いもVIP待遇となる日が来るのかも知れない。

 

花山洞[ORRの道路調査報告書]

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

京阪京津線と交差しながら峠を越え、国道1号、京阪電鉄、名神高速が狭い谷間にひしめき合い、レースさながらの状態の長い下り坂が終わるや否や今度は東海道新幹線との併走で対戦相手が次々と変わる消耗戦の最後を飾るのが東海道線と交差する東山トンネルだ。後はそのまま自動的に清水の舞台から飛び降りれば万事休す。全てが丸く納まるというもんだ。

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

東山トンネルを抜けておきながら尚、「そうだ!京都へ行こう」なんてJR東海のフレーズで呆ける人が後を絶たたないが、今では2つのトンネルの計4車線で膨大な交通量を捌く東山トンネル脇に歩行者用の小さなトンネルがある。これまで幾度となく通行しその存在を知りつつも調査に至らなかったのは夜間通過などの理由によるものだがその最もたる理由はこの隧道が歩行者用として後年設置されたものと勝手に思い込んでいたからだ。

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

そうして月日は流れ再び東山トンネルに差し掛かった僕の視界に映り込んだのは明らかなレンガ隧道であった。歩行者用と言いつつもこれまで見てきた旧道のそれと何等変わらぬ形状で隧道へ至る行程にこれが東山トンネル以前から存在する古隧道ある事に疑う余地はなかった。天下の国道1号東山トンネルに旧隧道が存在した?!それも歩行者用として今も尚現役である。

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

神聖なる場所へ紛れ込んでしまったかのような感覚である。喧騒な東山トンネルとは裏腹にここだけは静寂に支配され、まるで時が止まったかのようだ。時折歩行者が何事もなかったかのように通り過ぎるが、我々のような探索者との意識の違いは歴然で金鉱脈発見とばかりに興奮する男とチャリの前かごに京野菜をしこたま積み、今日の晩御飯を考えながら普段通りに通過するおばちゃん。

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

余りにも対照的なこの二人がこの後ベッドで絡む訳だが肝心の村西監督はまだ現場に到着していない。残念な事に片側は修復されていた。しかしそこには涙ぐましい努力の痕が窺えた。朽ち果てた坑門を極力原型に近い形で保存を試みようとした跡が随所に見られるのだ。

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

扁額は丸ごと、帯石、アーチリングの一部は当時のままで修復した模様で、ここで初めてこの隧道の名称が東山隧道ではなく花山洞である事を知る。僕は大阪の千早洞と並んで関西の2枚看板と成り得る大変重要な物件である事をすぐに理解した。僕が道路格闘家ではなく普通の仮面ライダーであったならば一生涯気付く事はなかったであろう花山洞。

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

後日山科区のホームページにて花山洞が明治36年開通である事だけは分かった。この隧道がどのような遍歴を辿っているのか、果たして本当に東海道の前身であるのかなど疑問は多々あるが毎度同じくこれ以上深くは調べない。血眼になって真相を探るよりも僕は妄想の中でマロンを膨らませて楽しめればそれでいい。

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