ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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川合隧道

 

川合隧道の取扱説明書

新川合トンネルの開通が199710月とまだ完成して日が浅いこの国道の旧道は現在でも国道指定されたままで当然川合隧道も現役で照明まで点灯したままである。何かと不思議なこの国道について考察してみたいと思う。

 

川合隧道[ORRの道路調査報告書]

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

世の中には数多くの不思議な道が存在するが、この国道も首を傾げたくなるような不思議な道のひとつだ。大阪と熊野を結ぶ国道だが行者環山を越える事なくプッツリと道は途切れている。実際には完全舗装されている行者環林道によって未開通部分は繋がってはいるのだが、あくまで国道としては途絶えている。

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酷道と呼ばれる国道が多いこの地で行者環トンネルで抜ける行者環林道を国道指定しまっても何等不思議ではないが、その道程は厳しく引き返す車も後を絶たない程で、もし行者環林道を国道指定した場合東の権兵衛街道に匹敵するかそれ以上の過酷な道であり、誰でも容易に通り抜けできる訳ではなく、一般車にとっては事実上通り抜けできない行き止まりの道と思って間違いない。

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また崩れ易く通行止も多い。そりゃそうだ、日本の年間最多雨量を誇る大台ヶ原の目と鼻の先にあるのだから崩れてナンボの世界である。そんな場所にある行き止まりの国道が途絶える直前に川合隧道はある。事実上行き止まりの国道らしく笠木隧道、川合隧道と続く2本の隧道で細々と峠を越え、その先で国道は途絶えている。谷間の小さな村への主要路であり生命線である。

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特に不思議な事はない。ところがどうだ、近年2本の隧道直下にそれぞれ新トンネルが開通し、それも行き止まりである国道の末端に不必要な程の長大トンネルで、行き止まりの国道にある最終集落に対して想像を絶する巨費を投じられたであろう2本の長大トンネルが果たして必要であったのかどうかは大いに疑問だ。ただ2本の新トンネルを既成事実とし新行者環トンネル構想を予感させるには充分なインパクトであった。

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今もって着工どころか計画線すら発表されていないが、これから本格的な事業計画が練られる可能性は否定できない。何故ならこの国道に新行者環トンネルを突けば、世界遺産に認定された熊野へ大阪からの最短経路となるからだ。今後需要が拡大すると予想される熊野方面への布石として新川合、新笠木の両トンネルが突かれた、そう考えてもおかしくないが何も動きがない現状では不思議な道と言える。

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今でも国道指定されたままの旧道にある笠木隧道と川合隧道は構造が酷似していて、ほぼ同時期に造られたと考えられる。坑門、内壁、掘割の側壁と全てがコンクリで覆われた近代的な隧道で、相違点は幅員と制限バーくらいか。笠木隧道は完全な2車線であるが川合隧道は1.5車線と狭く普通車同士の内部離合は厳しい。

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新トンネルがある以上旧道を利用する車両は極小だが、隧道内は今でも照明が点いており、それは現在でも国道指定を外されていないからなのだろうか?この国道のもうひとつの不思議がいまだに旧道が国道指定されていて、おにぎりも設置されたままで謎多き国道である。

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