ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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鹿ヶ瀬隧道

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鹿ヶ瀬隧道の取扱説明書

お宝隧道製造国道にほど近く、その影響を強く受けているかと思いきや、それらとは一線を画し、一際異彩を放つお宝隧道がここに眠る。石積み、レンガ、テボッチャーと三拍子揃ったコンビネーションは計算ずくか、はたまた予算切れが。いずれにしても芸術的作品としてルーブル美術館にまんま移築したい極上物件である。断られた場合の受け皿として箱根彫刻の森美術館に打診したが、キモイ!と丁寧にお断りされた事を付け加えておく。

 

鹿ヶ瀬隧道

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

隧道へ至るまでの安定した広い幅員とは一転し、急激に狭まった先にある薄暗い不気味な隧道は、パッと見激狭という印象は拒めず、夕闇迫る頃や夜間など、日中でも全く人気のない鹿ヶ瀬隧道に、果たして般ピーが平静を保ったまま近づけるかどうかは疑問だ。日中の日当たりの良さからか、植物が生い茂り、坑門全体を覆っていて、実際の容姿が判然としない。まるで仮面を被って

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いるようなのだ。扁額があるのかないのか、石積みなのかレンガなのか、その他の装飾もどれほど施されているのかさえ全く分かりゃしない。これでは草が枯れた頃を見計らって、改めて出直すしかない。坑門仮面だけは勘弁してほしい。さながら峠の仮面舞踏会と化している鹿ヶ瀬峠に、中年隊も黙っている訳にはゆかなかった。それでは中年隊で仮面舞踏会2005をどうぞ。

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SHYな言い訳 仮面で隠して

通ろう通ろう 鹿ヶ瀬の隧道

きっとお前も 悩める土木達(ドボダチ)

泣きな吐きな 漏らしてもいいよ今は

迷い込んだイリュージョン 

時を止めた楽園

むきに眉をひそめても 心裏腹

こんなにもチビっているじゃないか♪

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

これは凄い。お宝隧道量産地区につき、当たり前と言ってしまえば当たり前なのだが、やはり初めて見にする物件がレンガ隧道とくれば素直に感動せずにはいられない。またひとつ知られざるお宝物件を掘り起こしてしまった。SHYな言い訳をする仮面を外すと、そこにはオールレンガ巻きという実にすんばらしい素顔があった。レンガ巻きは坑口から数mで途絶えるも、単なる手掘りに

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終始しなかった事が、鹿ヶ瀬隧道開通を待ち侘びた当時の人々の思いを、的確に捉え表現しているように思う。坑口付近では激狭に見えたものの、実は白線のピッチを狭くとっていたからであり、実際に内部はかなり広く大型車も楽勝で通す。また中央付近では普通車同士の内部離合をも、ギリギリではあるが可能としていた。もう仮面などいらぬ、皆に素顔を見せつけてやれ!

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ヤバイ、針は振り切れた。計測不能だ。これは明らかにK点を越えている。石積みにレンガアーチを組み込むという離れ業は、この界隈に存在する並み居る強豪達への挑戦か?笠石に扁額、帯石の下には迫石を組み込んだレンガのアーチ環、そして何と言っても異常なまでの門柱の太さ、それを支える支柱は超極太で、それほど大きくもない隧道なのに、充分な迫力が伝わり、それは

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威圧的でさえある。海沿いの国道がことごとく、レンガに拘ったのとは対照的に、石積みを核としそれだけで終わらせる事なく、アーチ環にレンガを用いる奇抜なアイデアは、竣工当時評価されたかどうかは分からないが、道路遺構としては大変興味深く、少なくとも土木達の間では注目の的となろう。道中のヘキサも含め、現状のまま後世に残したい逸品の鹿ヶ瀬隧道(鹿ヶ瀬峠)であった。

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