ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

トップ>隧道電撃ネットワーク>四国>愛媛>俵津隧道

俵津隧道

★★★

 

俵津隧道の取扱説明書

俵津隧道は上を通る旧道の野福峠から本来なら野福隧道と命名されるはずだが何故か俵津と字名が付けられた変わった隧道である。坑門は気合の入った装飾もコンクリである事が残念ではあるが内部の壁がバラエティに富んでおり、坑門よりも内部に注目したい物件である。19923月新トンネルが開通するが、こちらの名称は野福が採用されている。

 

俵津隧道

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

旧道を上ってくると稜線もまだ見えない地点で旧道は諦めたかのように平坦路のカーブとなり突如山肌に隧道が口を開けて待っている。隧道手前は1.5車線以上の幅を有しており、対向車がいつ飛び出してきても慌てる事はない。但し、駐車スペースは全く無いに等しい。こちら側は景色に全く恵まれないが、その分俵津隧道を抜けた時視界に入る絶景は

DSC05078.jpg

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

特筆ものである。植林された杉林は見るからに軟弱そうな土質に見えるが実はその下にかなり硬い岩盤がある事はこの掘割が示している。豪快に掘り割った側壁はコンクリの噴き付けなども一切していない実に荒々しい造りで俵隧道へと迎え入れる。当初この上が野福峠であるからしてこの隧道は当然野福隧道だと思い込んでいたのだが、マフ巻き氏から

DSC05083.jpg

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

俵津隧道である事を知らされる。峠の名称と同名である事が一般的ではあるが、このように別な名称の場合もあるといういい例だ。さて俵津隧道であるが、坑門はかなり重厚な造りで気合が入りまくりである。立派な門柱、帯石、扁額、リングアーチとフルラインナップで皆様のお越しを心より申し上げておられる。扁額は銘板埋め込み式ではなく

DSC05090.jpg

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

コンクリの削り出しによるもので、今なら本場境の職人さんによるひとつひとつ丁寧に真心込めてお名前を掘り込むテレショップのサービスを利用したものだと思われる。これだけ立派な装飾の俵津隧道であるが全てコンクリによるものである事が残念である。ここまでデザインに凝っているので石かレンガを採用してくれたならかなりの大物であったはず。

DSC05098.jpg

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

こちらの坑門も同じくコンクリ仕様である。一瞬リングアーチの色が石かと思えるがやはりコンクリで新しく見えるのはアーチのみ後年補修したからかも知れない。こちらの坑口は若干ピッチが狭く車1台にしか対応していないが内部と反対側坑口は広めに取られており普通車同士の離合をなんとか可能にしているようだ。俵津隧道は坑口のデザインもさる事ながら

DSC05102.jpg

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

実は内部に評価すべき点がある。坑門はコンクリで処理されるも内壁にはレンガ、石組み、コンクリ噴き付けのテボッチャーと現代風の滑らかなコンクリ巻きと実に多彩で見る者を飽きさせない。照明がないので歩いて抜けるにはかなりの勇気を必要とするが、そこは社会科見学と割り切れば全然平気さ!但し僕は遠慮しとくがね。初回訪問時が激しい雨で

DSC05100.jpg

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

その時の隧道内は想像を絶する漏水で、内部は滝のようにあちこちから水が噴出し、このまま落盤するのではないかと思える程で、恐怖感からちょっとチビってしまったが、それも雨に流されたので全く問題はない。俵津隧道を抜けると野福峠旧道は右45度に曲がっていて、その先は崖となって落ち込んでいるため坑門が望む位置からの撮影が出来ないのが残念だ。

トップサイトナビゲーター管理人について感想・お問い合わせ