ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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金辺隧道

★★★★

 

金辺隧道の取扱説明書

車道のだけでも親子四代に渡る壮大な遍歴のある金辺峠に突かれた初代金辺隧道は竣工当時オールレンガ巻きという手の込んだ造りからもかなり重要なルートであった事が分かる。現在は両坑口付近が水没しかけているが隧道そのものは頑丈な造りでまだまだ健在だ。

 

金辺隧道

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北九州という大都市圏を背後に控え日々膨れ上がる交通量に対応すべく、この峠に最も新しく突かれ開通当初から交互ではなく2車線共に一方通行となったのは限りなく平成に近い昭和の最後に完成した第二金辺トンネルである。その隣に第二金辺トンネルが開通するまで交互通行にて大動脈を支え、現在は2車線共に一方通行となっている昭和中期に完成した

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金辺トンネルがある。現在は2本のトンネルによって計4車線を捌けるまでに成長したこの峠に初めて突かれた隧道がこの金辺隧道だ。現道と分かれた旧道はしばらく舗装路が続くがやがて砂利道となる。残念ながら近年旧道の舗装化が進行し金辺隧道手前まで舗装化されてしまうかも知れない。というのも金辺隧道手前からこの峠で最古の金辺峠を越える

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ルート上に鉄塔が立っており保守車両が進入してくる為だ。それでも金辺隧道前後には僅かに砂利道が残っていて往年の状況はそれなりに把握出来る状態ではある。初代金辺隧道は勿論の事、二代目が竣工した時点は国道ではなく県道であり、交通量は今よりもずっと少なかっただろうから初代金辺隧道のルートが砂利道であっても全く驚くには値しない。

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砂利道に誘導され坑口に近付くがかつて進入禁止の看板と共に設置されていたゲートが今は無い。撤去されたのか破壊されたのかは定かでないが、なるべく通行してほしくはないにしても現実には誰でも通行可能という状態になっている。坑門は後年修復されたのだろう、シャープなコンクリで覆われ近代的な面持ちとなっている。こちら側だけ見れば

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どこにでもある一般的な隧道だろう。但し水没気味の内部に潜入した時点で状況は一変する内壁がある所を境にコンクリからレンガに変わるのだ。金辺隧道は開通当初レンガで覆われていた事が判明する。それを決定的にするのが反対側坑門だ。完全にレンガである。門柱、帯、扁額、リングアーチに至るその全てがレンガ造りで、表面は若干色褪せてはいるものの

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見事である。よく現代まで原型を維持できたものだと感心してしまう。反対側は半壊か全壊かは分からないが、いずれにせよ持ち堪えられなかった訳で、それでも原型をモチーフにリアルに再現していた事がよく分かる。開通当初はオールレンガ巻きだった金辺隧道も今では片門と内部の一部を残すのみとなってしまっているが、旧道と化した現在では

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改修されるはずもなく、現状維持であとは時の流れに身を任せるしかない。落盤などの兆候は見られず、大地震でもない限り現状を保てるはずだ。竣工当初から普通車の内部離合を可能とし、内部路面はコンクリが打ってあり現在でも通行には全く支障はない金辺隧道であるが、坑口付近が前後とも水没しており年々悪化の一途を辿っている点が気掛かりだ。

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