ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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行合隧道

 

行合隧道の取扱説明書

高浜トンネルの開通が19907月だから行合隧道が旧道と化してから結構な年月が流れている。しかし旧道からあっさり車が飛び出してきて行合隧道が普通に現役である事を知る。単なるコンクリ隧道か、と思ったがどうやらそれは違ったようだ。

 

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ここサンセットラインに連発する隧道群は意外にも現役で供用されているものの方が多い。新トンネルが開通すると基本的には用無しとされる旧隧道もその先に旧道を必要とする物件があれば旧隧道が残される可能性は充分にある。サンセットラインはなだらかな海岸線から入り組んだ断崖となると内陸部に入り込み天草灘とはしばしお別れとなる。

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立派な2車線である現道の先には高浜トンネルが姿を現す。旧道は無駄な動きをしているように見えるが、開通当初は地形に無理のない最も適切と思われる線形であって、あくまで新道が合理的過ぎるだけなのだ。現道が直下の港町目掛けて豪快に真っ直ぐと下り降りるが、旧道はどこ行っちゃうの?という訳の分からない方向へと消えている。

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それも当時の技術力では妥当なルートだったと考えられる。峠越えと呼べるほどでもないが行合隧道とこの先の高浜隧道2本連続で隧道を突く事によって難所を克服している旧道に対して、現道は高浜トンネル1本とそれに準ずる高規格道路によって港町までストレートに通していて無駄な所が全くなく見事としかいい様がない。新道という比較対照物が

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現れるとどうしても無駄な動きをしているように見えてしまう旧道にある行合隧道は1.5車線幅の狭い隧道で当然普通車同士の内部離合は不可能である。従って坑口前で対向車をやり過ごしていた訳だが、当時の光景は今でも見る事が出来る。というのも行合隧道を抜けた先に十三仏公園があって少なからず現在も車両が行き来しているのだ。

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また旧道が現役である事を決定的にする理由が、路線バスが旧道を経由している事だ。現道は合理的ではあるが町を迂回するようなバイパス仕立てで町中を通していない。それに周囲に人家もない事から単に通過するだけの道路に過ぎず、地域に密着しておらず地元の人達にとっては必ずしも使い勝手がいいというものでもない。旧道沿いに人家が集中している為

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当然路線バスも旧道を経由するし、何より町中に突っ込んでいるのは旧道の方なのだ。地元住民のマイカーも旧道を利用していて行合隧道は充分な需要がある訳で今後も第二の人生を歩む事になる。狭いコンクリの行合隧道は旧道でなければ正直食指が全く動かない物件である。と、最初は思っていた。しかし近付いてみてちょっと様子が違う事に気付く。

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後年になってかなり丁寧な補修が成されたようで、一見何の変哲もない無機質なコンクリのように見えるが、リングアーチをよく見て欲しい。そう、レンガで巻かれているのだ。その他の坑門表層はコンクリによって綺麗に化粧されているが実はかなりの上物であった可能性が高い。今では想像するしかないが、一部でも原型が残されていたのは不幸中の幸いであった。

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