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姫戸隧道(2) ★★★ |
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姫戸隧道の取扱説明書 日本三大松島のひとつに数えられる天草松島は、白砂青松百選に選定される我が国屈指の景勝地で、天草五橋を繋いで渡る海上国道から見る風光明媚な景色は、一度目にすれば二度と忘れる事のできない絶景で、しまなみ海道などと並び我が国が島国である事を実感できる数少ない海の上を走る国道のひとつである。日本の道百選にも選定される天草パールラインを陽とすれば、陰にあたるただでさえ交通量の少ないローカル国道に接続する地味な県道上に姫戸隧道はある。全国区の景勝地に程近い場所で誰に知られるでもなくひっそりと世代交代を果たした二弁当峠の古隧道を訪ねてみた。
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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR トンネルある所に旧道ありの鉄則を用いれば、隧道の頭上を旧旧道が掠めていると考えるのが自然だ。隧道手前から派生する唯一の道路、それが大作山林道だ。九州自然歩道と重複している点も、そこが峠道と言わんばかりである。旧道に旧旧道をダブルゲットとは、何とも費用対効果の優れた峠ではないか。兼ねてから懸念していたガソリン価格の急騰に歯止めが利かず、庶民の臨界点と |
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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR されるリッター150円のボーダーラインを軽く突破しようかというこのご時世を乗り切るには、最小の費用でネタを一網打尽に出来る旧廃物件密集地帯の発見が急務となる。二弁当峠は近隣に旧廃物件が皆無の陸の孤島のような状況に置かれ、通常ならば手を出し辛い物件であるが、今回はその名称に吸い寄せられるようにしてここまで来てしまった。だが棚ぼた的に旧旧道もゲットとあらば |
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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR ここまで足を延ばした甲斐があったってもんだ。隧道の取材を片面のみで一旦切り上げ、旧旧道へと繋がる大作山林道へと進入する。旧道の途中より隧道の左斜め上に人工的な法面があるのを確認していた事で、旧旧道は最早手中に収めたも同然と思っていた。だがその意に反し舗装林道はどこまでもあらぬ方向へと僕を導いた。しくじったか?気付いた時には時既に遅し、かなり奥まで入り |
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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR 込んでいた。チクショーこれは旧旧道なんかじゃねー、後年になって開設された単なる舗装林道だ。それ以上の無駄なガスの消費を抑えるべく惰性のみで坑門前までチンタラ降りてくると、その場に座り込みパンと珈琲を頬張りながらあれこれと考えた。坑門の意匠は笠石もどきに扁額、リングアーチと簡素でありながらも、アーチを構成するコンクリートブロック片の丁寧な嵌め込み方に職人技が見え |
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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR 隠れする。壁面の剥がれ具合と全体的な劣化度合い、断面の形状と高さ幅とのスペック、それに内部の凹凸の激しいテボッチャーに、薄化粧された内壁とを合わせて考えれば、昭和初期の昭和十年前後五年以内と見た。光学三倍ズームはここでもその威力を存分に発揮した。唯一の手掛かりは扁額にある。肉眼では捉えきれない情報をキャメラは僅かにキャッチしていた。姫戸隧道、昭和九年 |
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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR 三月竣工。倍率を上げてもおぼろげにそう見えるという程度で、竣工年は確定ではないのだが、ここの正式名称が二弁当隧道ではなく、姫戸隧道である事だけはその場で確定した。見上げれば稜線まで防護対策が施されており、その距離は現代であれば確実に切り通される程低く、九州自然歩道が頭上になければ姫戸隧道はこの世から完全に消え去っていた可能性もある。隧道を抜けると |
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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR 舗装済みの白嶽林道とは別に、二弁当峠へと通じる道の存在が確認されたが、旧旧道は車両を一度も通した事のない階段状となり、森の奥へと消えていた。結局二弁当峠における成果は姫戸隧道のみとなってしまった。自然歩道の存在により休日はハイカーで賑わうのかも知れない峠の現トンネルは姫戸に代わり二弁当の名が付されている。 姫戸隧道1へ戻る |