ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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上熊隧道

★★★★

 

上熊隧道の取扱説明書

新上熊トンネルの開通が19943月であるからそれまで現役の国道であったとはにわかに信じ難い隧道である上熊隧道。県下でもトップクラスのお宝隧道で全国クラスでもかなり上位にランクされる大物だ。これだけの上物が何気に眠っているとは驚きである。現在でも通行可能であり、石組みのしっかりとした造りから落盤の心配もなさそうだ。それは旧道化した今も封鎖はおろか通行止措置が全く取られていない事からも明らかである。

 

上熊隧道1/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳

この国道の旧道がそれまで上へ上へと上り詰める事を止めなかったのが遂に力尽きたように平坦路となったそこにぽっかりと開いた穴があった。それが上熊隧道であり、地図上では隧道で抜けている峠である事を理解していたものの、それまで実際に見た事がなく、初めて上熊峠が峰越えではなく隧道を通していた事実をしかとこの目で認識した瞬間でもあった。

上熊隧道2/ORR

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どうやら封鎖されていないようなので、まずは一安心だ。出口の明かりは見えているのでストレートである事は安心材料なのだが距離は長そうで当然照明もない事からチビリ覚悟での進入となる。坑門には似つかわしくない派手な高さ制限の看板と手前の制限だけで後付けの装飾類はいたってシンプルである。さて肝心の坑門を検証する前に隧道手前の広場に

上熊隧道3/ORR

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目を転じてみたい。隧道手前は広大な敷地が存在し、かつては峠の茶屋かドライブインでもあったのだろうか?それにしては残骸が全く無く、完全な更地となっていて検討違いかも知れない。なにせ上熊峠旧道には人家はおろか道路以外の人工物は何ひとつなく、ここで営業していくのは想像以上の困難であるように思われるが、この旧道が街道筋であるならば

上熊隧道4/ORR

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茶屋があった可能性も充分に高まる。今でこそ閑散とした広場だけが残り、隧道手前の退避所も対向車が現れる事なく空しいばかりであるが、かつはこの旧道を昼夜問わず多くの車両が往来したはずで、内陸の都市部と日向灘に面した港を持つ古くからの城下町を結ぶこの界隈の道路では比較的重要なこの路線と思われるこの道が国道指定されたのも至極当然であり

上熊隧道5/ORR

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それは上熊隧道を見れば一目瞭然だ。というのも内部をご覧頂きたい。完全にオール石組みである。勿論落盤などによる修復はコンクリ巻きで処理されているが竣工当時は完全な石組み隧道で、今でも大部分は石組みのまま残っている。テボッチャーやコンクリが当たり前なのに対してオール石で組まれたという事はそれだけこの道の開通に対する意気込みが

上熊隧道6/ORR

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半端ではなかった事を現している。坑門は門柱こそないがリングアーチ上部帯を含め表層が全て石組みであり、一般の隧道とはまるで気合が違う。完全なお宝物件であり保存状態も良好で現在でも通り抜け可能という所が素晴らしい。上熊隧道は県下でも一二を争う大物である事はほぼ間違いない。上熊隧道は完全1車線の狭さで大型車1台がピッタリサイズで

上熊隧道7/ORR

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普通車同士の内部離合は当然叶わず、隧道手前での対向車待ちというロスはあるものの、上熊峠旧道は全線に渡って狭いので上熊隧道だけが特別不便であった訳ではない。19943月に新上熊トンネルが開通するまでは現役であった上熊隧道も今は山中で静かに余生を過ごしている。この極上の物件がいつまでも封鎖されずに通行可能である事を願うばかりだ。

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