ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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軍谷隧道

★★

 

軍谷隧道の取扱説明書

新軍谷トンネルの開通が昭和473月だから軍谷隧道が旧道化してからかれこれ30年以上が経過している訳でいまだに現役で通行可能な事は賞賛に値する。隧道は坑門内壁路面共に全てコンクリに覆われ、いつ頃改修されたのかは定かでないが初代は当然テボッチャーであったはずだ。それは荒削りな掘割からも容易に想像が付く。普通車同士の内部離合は不可能であったようだが大型車1台は余裕を持って通せる幅で、かつては路線バスも走ったのかも知れない。

 

軍谷隧道1/ORR

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確か軍谷峠を初めて越えたのは良く晴れた夏の夕方だったような気がする。この界隈には無数の林道が存在し、片っ端からそれらを攻めて軍谷峠はその日のラストランと考えていたと記憶している。何せ強烈な印象として残っているから間違いない。軍谷峠に隧道が存在する事は知っていたが、それは地図上からでしかなく、それまで実際に見た事もなければ

軍谷隧道2/ORR

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聞いた事もなかった。日暮れも迫ってきたにも拘らず予定通り軍谷峠に突撃した。その頃は国道の旧道といった肩書きなど今ほど関知せず、砂利道であれば何でも良かった。軍谷峠が元国道だろうが何だろうがそんなこたぁ知ったこっちゃない。現在のようなスタイルとは程遠く、単なる爆走林道野郎で、山から山へと走り繋ぎ、ただひたすらスピーディーに

軍谷隧道3/ORR

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砂利道を駆け抜ける事に情熱を燃やしていた。何かにとりつかれたかのように一心不乱に野山を駆け巡り、走り疲れる事に心地良さを感じ、言うならばそれはスポーツ感覚に近いものがあったと思う。各駅停車の如く撮り進む現在のスタイルとは180度異なるが、当時は走り続けなければ気が済まなかった。立ち止まってはいけないような気がした。その頃は峠で

軍谷隧道4/ORR

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一服などした記憶はほとんどない。僕はまだ見ぬ軍谷峠へ向けてアクセルを緩める事なくひたすら上昇を続けた。ひぐらしの鳴き声が辺り一面に響き渡り、日暮れが近い事を知る。急がねば。いつもこうして時間一杯まで使って1本でも多く走ろうとする癖はいまだに抜けていない。その日の対向車はゼロ。闇に包まれる前に何としても峠越えを果たしたい。

軍谷隧道5/ORR

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いよいよ稜線が近付きもう手が届きそうな地点に達した時、目の前に現れた軍谷隧道に思わず急ブレーキをかけた。正直怖かったのだ。夕闇迫る山中に見た軍谷隧道は僕が想像した隧道とは明らかに異なる形態であった。自分としては未舗装林道を走っている感覚なので林道に存在する短いテボッチャーを想像していたのだ。しかし現実はどうだ、林道にある隧道とは

軍谷隧道6/ORR

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明らかに性質が異なり何だか重苦しく、言うならば歴史を背負っているというか、かなり昔から使われている様子が窺え、それが威圧感のように感じられたのだ。物言わぬ軍谷隧道であるが、その存在自体が多くのものを語っているように思えた。日中だとそうでもないが夕方や夜間はどの隧道もヤバく見えるものだ。出口は見えるもその距離の長さが二の足を踏ませた。

軍谷隧道7/ORR

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結果的には全面コンクリで恐怖感はそれ程感じる事なく抜けた訳だが軍谷隧道坑門手前でビビって進めなかった若かりし日の僕がいた。当時は照明がない事を強く恨んだものだが今となっては徒歩での通過も楽勝だ。但し僕は遠慮しとくがね。軍谷隧道には見るべきものは少ないが、荒削りな掘割の側壁に初代坑門の姿を垣間見れ、補修前の姿が見てみたい軍谷峠であった。

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