ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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加茂隧道(3)

★★★

 

加茂隧道の取扱説明書

遂に教科書から加茂隧道が消えた。いや、正確に申せば国道である証の赤線から市町村道を指し示す白線へと変更され、それは国道という重要なポストに就き、長きに渡り活躍してきた由緒ある峠道に、印籠が渡された事を意味する。2005年度版の地図では新旧供にかろうじて赤く塗られてはいたが、事実上その時点で加茂隧道は旧道を飛び越えて廃道という扱いを余儀なくされた。何故か?それは産卵を終えた鮭が力尽きるが如し、新道を産み落としたと同時に加茂隧道の封鎖措置は予め決まっていたからだ。官が一度下した事項を覆すのは容易でない。2006年度版では加茂隧道とそこに至る加茂坂の線形こそなぞられど、それは最早国道のそれではないばかりか、つい最近まで当たり前のように通り抜けられた隧道を貫通する事すら叶わぬ夢となった。が、今ならまだ間に合うかも知れない。どうにか滑り込めるかも知れない。僅かな望みを託し僕は取る物も取りあえず、ヘナリワンに跨り鞭を一発入れた。走れエロス!

 

加茂隧道

道路遺構の調査発掘専門サイト:ORRの道路調査報告書

一度は諦めかけたヘナリワンによる加茂隧道の貫通。一時的な簡易ゲートとは言え、それを正面突破しなければならなかった事で後味は悪いが、兎にも角にも気合と執念によってかろうじて通り抜けだけは叶った。だが貫通しただけでは業務を遂行したとは言えず、出口にも設けられたバリケードを突破するまでは予断を許さない。夕闇迫る加茂坂に人気は無いものの、軽犯罪とは言えやはり

加茂隧道

空前のスケールで贈る道路大全:ORRの道路調査報告書

一線を越えているという犯罪者心理からか、一刻も早くバリケードの外に車両を移し、落ち着きたいという気持ちだけが先走り、プロのキャメラマンでもぶれるのが売りの使い捨てカメラ「ブレルンです」状態で、シャッターを切る手が震えた。それでも恐らく最初で最後と思われる加茂隧道とヘナリワンとのツーショット、それも加茂隧道の生涯最後に通り抜けた一般車両として記録に収めない

加茂隧道

お探しの道路がきっと見つかる:ORRの道路調査報告書

訳にはゆかなかった。物音ひとつしない静寂の中で撮影に没頭していた時だ。突然背後で犬が吠え出した。口から心臓が飛び出しそうになった。その時だ、どこからともなく聞き覚えのあるダミ声が辺りに響き渡った。口から心臓?口から心臓?心臓は喉通らへんやろ〜そんな奴おらへんやろ〜チッチキチー!こだま師匠だ。鶴岡文化会館で地方公演を終えたばかりのその足で加茂隧道の

加茂隧道

羅針盤、それは地図とカーナビとORRの道路調査報告書

フィナーレに分単位の過密なスケジュールの合間を縫って急遽駆け付けてくれたのだ。足早に次の公演地である村上に向けて立ち去るこだま師匠。息を切りながら加茂坂を小走りに下るその後姿に僕は狐につままれたような思いで、その場に呆然と立ちすくす。再び犬が吠えた事でハッと我に返った僕は、犬の先に小さく人影が見えた事で、そいつが野犬でない事を知る。最初に声を掛けたのは

加茂隧道

www.henari1.jp ORRの道路調査報告書

僕の方だった。何でもご主人は加茂坂が旧道化してからここを散歩するのが日課なのだと言う。新しいトンネルが出来るまではとても安心して歩けるような道じゃなかったから。ご主人のこの一言を聞くまでもなく、歩行者用通路もままならない狭い2車線の加茂坂。最も隧道の前後はまだマシで、加茂隧道に至っては坑門手前でセンターラインが消え失せる所謂インチキ2車線のそれだ。だが

加茂隧道

ヘナリワンドットジェイピー ORRの道路調査報告書

新トンネルが開通し大型車も歩行者も安心して通れる訳だし、今となっては何もかもが結果オーライと言えるのではないか。ただひとつ残念なのは加茂隧道の封鎖だ。道中には人家がひとつもなく利用価値の無い道を格下げして供用し続ける事は維持管理のコスト面からも適当でない事は分かる。ただ隧道手前の廃屋が人の住まう住居であったならば、少しは違った結果になったかもと

加茂隧道

ビストロORR(日刊ORRへの御案内)

思うと残念でならない。また改めてこの地にやって来ると誓い僕は帰路についた。尚fuku氏のレポートでは加茂隧道を抜ける路線バスや竣工当初の貴重な姿を公開されているので、是非そちらをご覧になって頂きたいが、もしも加茂隧道が昭和の大改修を受けずに、竣工当初の姿であったならば超の付くA級隧道であった事を付け加えておく。

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