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www.henari1.jp ORRの道路調査報告書 ODA ROAD RESEARCH

〜ツーリングマップルで訪ねる万の峠と億の道〜

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トップ>酷道データバンク>甲信越>長野>南峠/旧長野県道442号諏訪箕輪線の実走調査レポート

南峠()

★★★

南峠4-1

◆南峠4−1:

ヘアピンコーナーを経た後の路は、山肌を丁寧になぞり緩やかに下降を続ける。整備状況は抜群に良く、路面は常に安定している。管理状態はすこぶる良好だ。

振り向けばV字に切れ込んだ南峠が確認できるが、ここが峠を見届けた最後のポイントとなった。これより先は再び樹林地帯へと突入する。

路上へと覆い被さる樹木は、容赦なく照りつける日差しを適度に遮り、芽吹いて間もない針葉樹林が太陽光をカットし、疲労を軽減してくれる。

南峠4-2

◆南峠4−2:

目にする道路付帯設備と言えば、相変わらずガードレールオンリーであるが、上り車線とは明らかに違うものがあった。それが幅員である。

峠より先は普通車同士の離合を許す箇所が多く、それは離合箇所が設置されているというより、全体的に道路の幅員が拡張されていると言った方が正しい。

上りは林道と何等遜色ない規格であったが、峠を越してからというものは、対向車をほとんど意識する必要がない程快適な走行が可能となった。

南峠4-3

◆南峠4−3:

最も交通量が多い時間帯に通過したはずだが、すれ違う車両は皆無に等しく、取材当日は軽トラ1台とすれ違ったのみで、終始静寂に包まれる砂利道は、我々が想像する県道の範疇を大きく逸脱している。

ってか正直地元民でさえ誰もこの道を県道などとは思っていないだろう。恐らく県道442ってどこですか?と尋ねたところで十中八九まともな答えは返って来ない。何せ最初にヘキサを見て以来この道が県道である事を示すポールのひとつも見掛けていないのだから。

南峠4-4

◆南峠4−4:

未舗装路から舗装路に切り替わると視界がパッと開け、眼下には中央高速、右に八ヶ岳、中央に霧ヶ峰、背後に塩尻峠、その直下に諏訪湖と諏訪全体が一望でき、まさにここからの眺めは絶景であった。

砂利道でないのが残念であるが、これは中央高速に最も接近し崩落の恐れのある法面を全てコンクリによって覆われた際ついでに路面も便乗舗装されたものと思われる。

その証拠に高速道路との隣接区を過ぎると、路面は再び砂利敷きと化すのだ。

南峠4-5

◆南峠4−5:

撮影中ふと前を見れば何やら見慣れぬ風貌の怪しい人物が近づいてくる。見れば長身で細身、ジーンズにTシャツは今時の大学生を想像させる。

ただ彼の身なりに若干違和感を覚えたのは、小さなザックに不釣合いなロールマットをぶら下げただけの軽装で、時と場所を考慮すれば常軌を逸しており、心中穏やかでない。

それもそのはず、彼が今から向かうは真志野峠ならぬ南峠ただひとつだからだ。

行くのか?

南峠4-6

◆南峠4−6:

バカな、有り得ん!

昼はとっくに回っているのだ。いくら日照時間が長い時期とは言え、入山時刻を完全に誤っている。

最初に話し掛けてきたのは彼の方だった。

「峠を越して箕輪へ抜けられるが、恐らく今日中には町まで辿り着けない。山中で夜を明かす事になるが良いか?」

引き止めはしなかった。何故か?若かりし頃の自分を彼に重ねたからだ。

一人か?やめとけ、死ぬぞ!

南峠4-7

◆南峠4−7:

僕はこれまでに幾度となく現地住民からそのような言葉を浴びせられた。しかし聞く耳など持たなかった。それが若さというもの。今彼を説き伏せた所で、恐らく彼の意思は変わらないだろう。僕が何と言おうが、それは老人の戯言でしかない。

最後の最後まで県道である事を隠し通したまま終点を迎えた県道442号諏訪箕輪線。

最後に現れた青年、恐れを知らぬ若さ、僕は白昼の南峠にドッペルゲンガーを見た。

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