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www.henari1.jp ORRの道路調査報告書 ODA ROAD RESEARCH

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トップ>酷道データバンク>甲信越>新潟>海老牛峠/県道427号五十子平真田線(かいろううしとうげ)の実走調査レポート

海老牛峠()

★★

海老牛峠4-1

◆海老牛峠4−1: ガードレールの無い断崖路

しばらく続いていた右手の段々畑も視界から消え失せると、再びそこは一般車両が容易に近付けぬ狭路と化した。相変わらず沿道にはガードレールの一本も用意されておらず、滑落すれば白骨化するまで発見されないのではないか、そんな不安を覚える深淵が果てしなく続く。

いくら覗き込んでも底の見えぬ深く険しい谷と、山中を当てもなく彷徨い続ける先行き不透明な交通量皆無の舗装路は、我々一般が想像する県道の常識を激しく逸脱している。この道を日常的に通うのは随分と骨の折れる話で、脱輪したら一発でお釈迦のこの道を好き好んで通る者もおるまい。

海老牛峠4-2

◆海老牛峠4−2:補修箇所が目立つ危うい狭路

事実海老集落以後対向車はゼロであり、起点である名ヶ山地区から数えても擦れ違った車両は僅かに1台のみというとても県道とは思えぬ交通量で、それもこれも原因は名ヶ山地区の外れにある威圧的な白看のせいだろう。

壁面より突き出す巨木と、その下を通過する幅員2m程度の見るからに脆弱な路肩の狭路を思えば、事前に告知される脅威が単なる誇張でない事は明らかで、近年稀に見る驚異的な狭さの現役県道である事は間違いないのである。結論から言えば、土木事務所が尤も懸念するのは、海老集落を過ぎた直後に待つ巨木&狭路の短区間に限られる。

海老牛峠4-3

◆海老牛峠4−3:地形図上で一本線表記の急坂

その他は狭いと言っても一般的な林道と何等遜色ない規格で、取り立てて騒ぐほどの事でもなく、細心の注意さえ払っていれば、大方は問題無く通行可能なレベルにある。但し国土地理院の地形図では海老と赤倉の集落間が未だに一本線でなぞられている事から、それ相応の覚悟を必要とする難路である事は間違いないのだろう。

事実この県道の脆弱さは路肩のみならず道路全体に及び、道中は補修箇所のオンパレードと全く油断ならない本格的な山岳路なんである。崩れては補修しを繰り返した跡が随所に見られ、海老・赤倉間での長居は無用だ。

海老牛峠4-4

◆海老牛峠4−4:赤倉集落の外れの棚田

カーテン状の山襞を丁寧になぞり山肌に引っ掻き傷を刻みながらジェットコースターの如し急降下する県道は、集落間を結ぶ重要な路線というよりも舗装された林道と言った方が正しく、そこには生活臭というものが全くと言っていいほど漂っておらず、海老と赤倉の間を定期的に行き来している者は皆無に等しいと思われる。

事実海老集落の者は、町道の新越道大橋を経由し国道253号線の日澤下トンネル前へ抜けるルートが基本的な生活道路であり、海老牛峠や最狭区を使い分けている訳ではない。県道は無くても誰も困らないイレギュラーな路線に過ぎない。

海老牛峠4-5

◆海老牛峠4−5:坪野橋

それは赤倉集落にも言える事で、基本的なアクセスは県道を伝い五十子平地区で国道353号線に接続、そこから津南や十日町或いは上越方面へと足を延ばすのが一般的で、わざわざ林道状態の県道をなぞり国道253号線へ出るとは考え辛く、現況を見る限り県道427号線が利用価値の無い名ばかりの県道である事はほぼ間違いない。

但し海老集落の先と赤倉集落の坪野橋の手前には、それぞれ現役の田畑があり、県道そのものは当界隈で暮らす者にとっては必需であり、海老と赤倉を繋ぎ合せ一路線とした事に問題があるように思えてならない。

海老牛峠4-6

◆海老牛峠4−6:赤倉集落

地形図上において一本線でなぞられる狭路は2km弱と短く、そのうち1kmほどが100mの高低差を一気に駆け下りる難所で、それ以外は海老の田畑と赤倉の棚田を囲う穏やかな顔を覗かせ、通り抜けが叶わなければ極々平凡などこにでもある田舎道のひとつに過ぎない。

狂気に満ちた県道もようやく落ち着きを取り戻し、坪野橋の手前付近より幅員は5m超へと広がる。トラクターが撒き散らす土塊を見てようやく人の気配を感じ安堵する。橋梁を跨ぐと赤倉の集落が目前に迫る。ここで生活臭が津波の如し押し寄せ、ようやく下界の安全地帯へ到達した事を知る。

海老牛峠4-7

◆海老牛峠4−7:国道353号線との分岐

古民家で占められる海老集落に対し、赤倉集落は近代的な建築家屋が大勢を占め、質素な海老と派手な赤倉と対象的な両集落に接点を見出す事は困難である。県道という名の糸で結ばれているのは確かだが、そこに意思の疎通があるようには見えない。

浅河原川沿いの断崖の狭路に始まり、海老集落直後に迎える最狭区、そして山肌を急降下する狭隘な坂とバラエティに富む県道427号線。現役県道としては稀に見る狭さで、県下は勿論全国区でも通用する最狭県道である事は間違いない。

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