ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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秋田県道279号稲庭関口線(5)

★★★★

 

秋田県道279号稲庭関口線の取扱説明書

かねてからマークしていた道がある。それは路線番号で言えば県道278雄勝湯沢線という砂利道県道の次にあたる279号稲庭関口線という3桁県道である。市販の地図は大変罪深かった。一見寸断されているかのように見える箇所が、実は点線によって繋がっているのだ。それは獣道のような類ではなく、少なくとも登山道と同等レベルかそれ以上の規格を有する道によって繋がっている事を示唆していた。階段や岩登りのようなシーンさえ無ければ、攻略の可能性は充分と踏み、さっそく現地へと乗り込んだ。

 

秋田県道279号稲庭関口線5-1/ORR

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巨大な倒木が行く手を遮ったが、Mr.YAMATANIの称号を手に入れたロリエさんが勢いそのままに突っ込んだ所、あっけなく敗退し、結局倒木の一部を切断せざるを得なかったというのが事の真相である。僕がやってきた頃には既に除去作業は完了しており、倒木の下をヒョイと潜り抜けると、眼下に何やら小屋らしき人工物が見える。やはりこの道は山仕事で使われていたようだ。

秋田県道279号稲庭関口線5-2/ORR

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ところが、今では使われているのかどうかさえ怪しいその小屋へ近づく術がない。道がなくなっているのだ。いや、正確に申せば道はあったようだが、今は完全な森へ還ってしまっている。これには参った。もう辺りは道だかなんだか見分けがつかないほど、すっちゃかめっちゃかになっていた。かつて道が繋がっていた事だけは間違いないのだが、現在の状況は開拓前の単なる樹海に迷い

秋田県道279号稲庭関口線5-3/ORR

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込んだに過ぎない。木の根っ子が縦横無尽に走りハンドルがあらぬ方向へ持って行かれ、何度も転倒しそうになる。更には倒木も横たわり、我々をそう簡単に通しはしなかった。この道はたった1回のヘアピンで、ある程度の落差を一気に降ろしている。その昔は自動車を通していたのは間違い無さそうだが、その対象は一般車両ではなく、山仕事に従事する人達の為のものだったようだ。

秋田県道279号稲庭関口線5-4/ORR

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つまりこの県道は正式な開通はしていない。しかし現実に道はあった。地図で見た点線は予想通りというか、予想を上回る幅員で我々を迎え入れた。但し現場の状況は下れば下るほど混迷を極めた。山小屋の発見に一瞬は安心するも、それはほんの束の間の幸せに過ぎなかった。それに近づく事さえままならないような極悪路面に我々は右往左往し、やっとこさまともな廃道らしき

秋田県道279号稲庭関口線5-5/ORR

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道筋を見つけた。雄物川に注ぐ支流の戸沢川沿いを県道は進む事になる。その最奥部にあたるこの辺は、長沢と呼ばれる支流の末端にあたる源流点に違いない。それらしき小川も流れてはいるのだが、増水時はこの辺一帯を無秩序に鉄砲水が走るのだろう。かつて道であった場所も川のようになっているし、道の跡だか川が干乾びたのか判然としないような状態にあったが、今では

秋田県道279号稲庭関口線5-6/ORR

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使われていないであろう藪道を少々下ると、小川が廃道を横切っている箇所に出た。そこではっきりと支流の長沢と県道279との区別がついた。県道の路盤にはヒューム管のようなものが埋め込まれているが、中に土砂が詰まって本来の役目を果たしていない。普段の水量だったら捌けていても、増水時には全く機能しなくなるようだ。増水時行き場を失った濁流の矛先は県道へと向け

秋田県道279号稲庭関口線5-7/ORR

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られる。お陰で路面は押し流されて、ごっそりと消失してしまっている。ご覧のようにクランクがヒットするようなジャストシステムになっている。増水時は濁流が狂ったように流れ、県道を真っ二つに分断してしまうのだろう。普段は大人しい顔をしておきながら、やる時はやる長沢であった。

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