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〜道路格闘家へなりと闘う鉄馬ヘナリワンの軌跡〜

ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を管理人が実走調査したレビュー

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荒坂峠(3)

★★★★★

荒坂峠(県道68号津山加茂線)の取扱説明書

世の中にはいまだに全通という夢が叶わぬ未開通県道が数多く存在する。完全にプッツンしているものもあれば、微妙に点線で繋がっているものもある。ここ荒坂峠は未開通とされながらも、市販の地図上では点線表記されていて、もしかしたら通り抜け出来るかもと期待させるには充分な短区間である。そこにT3F氏から詳細な情報が寄せられ、単車での到達は可能との情報を頂き、早速現地へと赴く事となった。そこで目にしたのは、この世のものとは思えないほどの、おぞましい激坂であった。

荒坂峠3-1byORR

旅と道路と峠のバイブル=地図×ORRの道路調査報告書

峠の向こう側もまた上りに負けず劣らず凄まじい勾配で、パッと見は県道じゃなくて完全なブル道アルヨ。

どうしてこんな山の斜面に逆らう事なく忠実に道を付けてしまったのだろうか。それもここは林道などではない、立派な主要県道なのである。そもそも何故ここに道が必要だったのだろうか?

この一帯が全て植林杉で覆われており、それらを伐採し搬出する為の道とも考えられるが、この激坂の途中にトラックを停車させ木材を積み込む事は余りにも現実離れしている。

荒坂峠3-2byORR

旅と道路と峠のバイブル=地図×ORRの道路調査報告書

いくらサイドブレーキを引いていようとも、積み込んだ木材の重さに耐え兼ね、タイヤがロックされたまま滑り出すか転がり落ちる、そんな光景が目に浮かぶ。そんな尋常でない坂道の途中で、荷揚げ作業が行えるとは到底思えないのだ。

だが我々の想像を遥かに絶する超ハードな山仕事が、日常的に敢行されている可能性も否定出来ないのである。事実、サミットを越えた激坂の最初のヘアピンの先には、大量に木材を切り出した痕跡が見られた。

荒坂峠3-3byORR

旅と道路と峠のバイブル=地図×ORRの道路調査報告書

そこだけは走行中に感じられる杉林独特の匂いではなく、新築の物件などで嗅ぐ生木の匂いがたちこめ、それは今さっき切り出されたのではないかと思えるほど、日が浅いもののように感じられた。

下手すると昨日今日、或いはほんの数時間前まで、この場所で木こり達が汗を流していた、そんな感じさえするのである。だが現場には証拠隠滅を図ったかのように、切り株以外に何ひとつ痕跡を残してはいないのである。

荒坂峠3-4byORR

旅と道路と峠のバイブル=地図×ORRの道路調査報告書

ここまでどのような車両で入山し、いかなる作業をしていたのかは、大変気になる所ではある。もしここで山男達と出会っていれば、荒坂峠に関する謎が全て解き明かされたかも知れないと思うと、非常に残念でならない。

峠直下の木材伐採現場からは横ばいの平穏な道程がしばらく続いた。上りと比較すると激坂の距離は明らかにこちら側の方が短い。

平穏とは言え道中はガードレールのひとつも無く、砂利道の上にただコンクリを流し込んだだけの路面は、路肩も軟弱で積極的に通りたいと思うような道ではない。

荒坂峠3-5byORR

旅と道路と峠のバイブル=地図×ORRの道路調査報告書

そのまま県道は緩やかに集落まで抜けるかと思いきや、やはり急坂は続く。但し激坂は、峠の前後以外では鳴りを潜め、九十九俺や極々一般的な坂道で集落へと繋がっていた。

もうここまで来ると、生命の危機を覚えるような常軌を逸した激坂とは無縁で、小春日和の道程で一般的な林道規格へと落ち着いてきた。

それでもまだ県道らしさはどこにも見られず、最後の最後まで奇想天外な峠道である事に変わりはなかった。特にコンクリ敷きの区間は一般林道をも凌駕する異様さで、コアな道路探求者のツボに嵌る峠道である事は、この僕が保証する。

荒坂峠3-6byORR

旅と道路と峠のバイブル=地図×ORRの道路調査報告書

実際に峠を越えてみて分かった事は、車道としての荒坂峠は比較的新しい道であるという事だ。新しいと言っても開通後数十年は経ているだろうが、荒坂峠に向かって両側から延びてきた道の線形が、明らかに行き止まりの様相を呈し、最初から峠を越すようには設計されてはいないのだ。

本来ならば繋がるはずのなかった二つの路線を、半ば強引に結合させた結果、あのような凄まじい線形を生み出したと考えられるのである。

荒坂峠3-7byORR

旅と道路と峠のバイブル=地図×ORRの道路調査報告書

勿論昔ながらの人道は存在したであろう。もしかしたらその人道を、忠実になぞる形で拡幅舗装したのが現在の峠道なのかも知れない。

一般車をそう簡単に寄せ付けない荒坂峠。なのに津山側の県道476号横野滝線との分岐点には、何の躊躇いもなく青看が加茂方面へ向けGOサインを出している所が凄過ぎる。

またこの交差点では、主要二桁県道が三桁県道に規格負けしている点も、強調しておかねばなるまい。

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