ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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大分県道715号木田神崎線(4)

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大分県道715号木田神崎線の取扱説明書

長らく有料道路として使われてきた臼杵坂ノ市道路が無料化に伴い県道に指定されたのはつい最近の事だ。それにより御所峠を越していた県道は旧道と化した。臼杵坂ノ市道路の出来があまりにも良い為、通行料をケチって峠越えする車両もほとんど無く、現役時代から交通量極少の県道であった。ただでさえ交通量の少ない県道から何やら枝分かれする妙な県道の存在に気付いたのは世紀末も押し迫った夏の夕暮れ時であった。そこで僕はトンデモナイモノを目にする事となる。地図上では点線扱いとされる県道の真実の姿をとくとご覧あれ。

 

大分県道715号木田神崎線4-1/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

戸保ノ木隧道から集落までは、割りと開かれていて明るい雰囲気が続いていたが、戸保ノ木集落を抜けると、昼尚薄暗く、閉ざされた深い森へと急変する県道715。集落より先が地図上で点線扱いとなっている目玉区間である。路面にはこれまで同様簡易コンクリが敷かれているが、それも徐々に割れ始めてきた。その後も補修される事は無かったのだろう。遂に路面はダートと化した。

大分県道715号木田神崎線4-2/ORR

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県道715の点線区間は砂利道であった。幅員は完全1車線で一部路肩が脆く崩れてしまっている箇所があるが、軽自動車なら問題無く通れるレベルである。道中には低い石垣が組まれている箇所があり、よく見るとそこもかつての田畑であった。人工的に杉が植えられ、それもかなりの太さである事から、昭和中期頃に何等かの事情で大規模な減反が行われたようだ。単なる山の

大分県道715号木田神崎線4-3/ORR

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斜面だと思っていた場所、そこにかつては人の手が入り、千枚田のような段々畑や果樹やらが栽培されていたのだろう、それも一山を覆い尽くすほど広範囲に渡ってだ。そこには多くの人々が従事していたのだろう。今では一部の植林杉が管理されている程度に留まり、それ以外はほとんど手入れされる事なく放置され、荒れた果てた竹薮が主役に踊り出そうな勢いである。戸保ノ木の

大分県道715号木田神崎線4-4/ORR

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集落で動く人影を見たのは既に当路線も五度目の調査を数えた頃の事である。初めてこの路線を通過した時に戸保ノ木集落が廃村でない事は番犬の存在で明らかではあった。毎回調査に訪れるたびに吠えられるも、人影を目にする事はなかった。もしかして日中は市内方面に出勤しているのかも知れない。つまり日中の戸保ノ木集落は無人であると。すっかりそう思い込んでいたの

大分県道715号木田神崎線4-5/ORR

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だが、僕は遂に5回目にして畑仕事に従事する人影を発見する。僕は驚かせないようにこちらから接近する事なく、あちらに気付いてもらうまで気長に待った。ようやく畑仕事にも一息ついたらしく、古民家の縁側へ向かおうとするお婆さんの視界に僕が入ったようだ。お婆さんは軽く会釈し、僕も頭を垂れた。警戒心を解く為に趣味で山の中の道路を巡っている事を告げた。お婆さんは

大分県道715号木田神崎線4-6/ORR

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口数も少なく、あまり多くを語ろうとはしなかったが、戸保ノ木について少しばかり簡単にではあるが教えてくれた。電気と電話は通っているが、水道は川の水を利用している事、屋根が突き出した廃屋は大工さんの実家で、現在は市内に移住していて廃屋同然だが、将来的には戻って来て建て直す可能性がある事、切り通しを越えてから最初に見る今でも住めそうな民家の住人は福岡へ

大分県道715号木田神崎線4-7/ORR

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出てしまったが、年末年始やお盆には帰省している事、そして戸保ノ木集落で現在生活しているのはお婆さん一人である事。み〜んな出ていっちしもた、この一言が強く印象に残っている。戸保ノ木は廃村でも廃村予備軍でもない。元住人達は必ずや故郷であるこの地に帰って来るだろう。

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