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美笛峠(4) ★★★★★ |
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美笛峠の取扱説明書 「びふえ」初めてこの峠に挑んだその日から、２００６年の今日現在に至るまで、僕はこの峠をずっとびふえ峠と呼んできた。勿論それが正式名称でない事は「長万部＝おしゃまんべ」の例を持ち出すまでもなく分かりきっている。難読地名の宝庫である北の大地でアイヌ語を無理矢理宛がった漢字から、ここをピプイ峠と物の見事に言い当てるのは九分九里不可能である。ピプイという響きからは何も想像できないが、びふえという言葉は率直に美しい笛を単純に脳内に描かせる。現に緑一色の深山に一際輝く白い縦笛が浮かぶ姿は、廃道内における一服の清涼剤と言える。向かいの谷で美しい音色を奏でる美笛滝をよそに、ここでは悲鳴に怒号に溜息に吐き気といった、具合が悪くなる一方の、ある意味非常に美味しい展開で、皆様のお越しを心よりお待ち申し上げておられる美笛峠。その美しい名称とは裏腹に、余りにも凄まじい現場の状況から、ショックで心肺停止も無きにしも非ずというドクターストップ寸前の突破行から早数年。長い沈黙を破り僕は再び北の大地に帰ってきた。経年劣化した廃道の五線譜には今どのような音符が並べられ、またどのようなメロディを奏でるのだろうか？再びあのマックスポイントが死の旋律を奏でるのだろうか？そこに見るは果たして協和音かそれとも不協和音か。へなりカンタービレが美しい笛に隠されたこの峠の真実の姿に迫る。
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ドライブ＆ツーリングのネタ帳ORR それまで天を仰ぐような形で聳え立つ険峻な壁面と一歩足を外したら先の見えない谷底へと真っ逆さまとなる断崖で構成される危険な場所でありながら、薄暗くジメジメと湿気を帯びた陰気臭い区間を過ぎれば、ようやく確かな陽射しが容赦なく降り注ぐ明るい区間に抜け出た。そこはインターバルには打ってつけの場所であった。最初に取り付いた捨て駒である低い稜線直下の影に隠れて |
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ドライブ＆ツーリングのネタ帳ORR 気配を殺したまま侵攻した旧道は、気付かぬうちに確実に自身の高度を増し、いつの間にやら稜線と同位置へと達した。そしてここまでリードした尾根を踏み台にして、二段ロケット宜しく用無しとなった尾根をものの見事に切って捨てたのである。こうして支尾根を経て本尾根へと取り付いた旧道は、美笛峠一本へと狙いを定める。最近ここを四輪が通ったんべ！と錯覚するほどフラットな |
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ドライブ＆ツーリングのネタ帳ORR 状態を保つ旧道。だがその胡散臭い状況に幾度となく騙されてきた僕はすっかり慣れっこになっていた。全体的に見てこの旧道に今の所大きな変化は見られない。足元が見えなくなるほどの植物によって完全に支配される部分とフラットな路面とが、断続的かつ交互に現れ一喜一憂させるも、良い意味でそれらは僕を全く飽きさせなかった。部分的には雨天時に川が出現する区間も少な |
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ドライブ＆ツーリングのネタ帳ORR からず存在し、そうした場所には必ずと言って良いほど、大蛇が這った痕のような蛇行筋が見られ、足を取られ易い洗堀は非常に厄介な存在だ。残された陸地の大部分は日陰という事も手伝って、湿気を帯びた土壌の表面に苔がびっしりと張り付き、そこは後輪が気持ちいいほど良く滑る。時折二本の洗堀跡が均等なピッチを保っている姿を見ては、四駆が削ったのでは？と一瞬 |
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ドライブ＆ツーリングのネタ帳ORR 淡い期待を抱くも、最初に見る巨大なクレパスと、この先で待ち構えている巨大隕石によって、美笛峠旧国道はゲートなど無くとも完全封鎖されている事を、身を持って知っているはずなのに、無茶な願いと知りつつも悲しいかなどこかで復旧を期待している自分がいる。建て前としては旧道保存という大義名分なるも、実は状況がヤバ過ぎて怖過ぎる故の夢見る少女じゃいられない |
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ドライブ＆ツーリングのネタ帳ORR 条件反射的な思考なのだ。例えば南極で遭難しかけている時、急に肉まんが食べたくなった。けど現実には願いが叶ったとしても冷凍みかん４個入だったみーたーいーな。砂漠で喉が渇いて死にかけている時、前方にオアシス発見！コーラかと思って口に含んだら刺身醤油だったみーたーいーな。まあ現実とはそんなもんでさぁね。そんな現実から目をそむけたくなる魔の区間が刻一刻と |
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ドライブ＆ツーリングのネタ帳ORR 迫り、遂にその現場に到達した。嵌ったら単独では容易に脱出が出来ない洗掘の究極の形である深い地割れが縦方向に２本。しかも僅かに残った本来の路面上には背丈並みの猛烈な薮。さらに行く手を遮る倒木が追い討ちをかけ、この至れり尽くせりの状態を改善するのに３０分を要した。 美笛峠５へ進む 美笛峠３へ戻る |
