ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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姫侍峠(姫川林道)(6)

★★★

 

姫侍峠(姫川林道)の取扱説明書

幾多の旅人がこの林道に挑み、そして散っていった事だろう。この道で悪戦苦闘し、悶絶の末引き返しを余儀なくされ、僅かに与えられた束の間の休日を奪われただけでなく、心身共にボロボロにされた挙句、出発前北海道を有意義に周回すべく綿密に立てられた計画も、ことごとく変更を迫られ、キャンセル=キャンセル料発生プラス代替宿は全て満室という至れり尽くせりのシステムで貴重なひと夏が奪われた人は僕が知るだけでもかなりの人数に上る。なしてそこまでして姫川林道へ人は挑むのか?その魅力に迫る。

 

姫侍峠(姫川林道)6

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

ここは危なかった。右往左往しながら進む縦横共に1m以上も深く抉られた急斜面は、大小様々な石が散乱する川床のようになっており、ラインの読みが難しいのも然る事ながら、一刻も早くこの場から立ち去りたいと思わせるには充分な惨状で、切羽詰った状況から兎に角早く逃れたいが為に、一気に駆け降りる。その先に待ち構えていたのが、路面を完全に塞いだ池であった。

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危うく突っ込みそうになったが、ギリギリセーフで大惨事は免れた。池の深さときたら尋常ではなく、どう見積もってもタイヤ半分が沈む程度では済まされない訳で、荷物満載のヘナリワンでは最深部で止まってしまうか、上りきれず対岸に達する前に横転と言った所がオチだ。池の左右どちらのルートが安全かを見極めた上、落水しないように慎重に歩を進める。

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その大池を筆頭に他にも数箇所の巨大な水溜りが、行く手を塞いでいた。更に切り立った斜面を引っ掻き傷のように進む路面のあちらこちらが、道床ごとごっそりと持ってゆかれ、単車のみが辛うじて通行可能な危険箇所が際限なく現われ、精神的にも肉体的にも、これ以上の撮影は困難となった。それは道中の決壊具合だけでなく、時間が大きく関係していたのだ。

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

というのもここまで詳細な記録を留めようと、亀の歩の如し低速で進んできた事、倒木を3本切断及び除去した事によって時間が大幅に押している事、そしてゴール地点が全く見えて来ない事、そして最も大きなミスが入山時刻を誤ってしまった事だ。もしこの先に決定的な場面が現れたとしたら全行程を戻らねばならない。正直焦った。

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救世主が現われたのは撮影を断念してから正味10分程経った頃か。見覚えのある橋、というより姫川林道後半戦に入ってから初めての人工物である橋梁の出現にしばし安堵し、ここでどうにか落ち着きは取り戻した。当路線を何度か突破しているという過信が油断に繋がったのは間違いないのだが、なんと言ってもこれまでと大きく異なるのは、単に突破するのではなく、詳細な記録を留めるにあたり、必要以上に時間を費やす事を考慮していなかった点だ。

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そのミスは起点から既に始まっており、15時を回っていた上に、峠を越した時点では16時を回っていたのだ。ただでさえ障害物の除去などに時間を費やされる上に、詳細な記録を撮って進んでいる訳だから、道が完全に消失しゲームオーバーとなった場合、引き返すはめになるが、途中で日が暮れるのは火を見るより明らかで、入山当初から片道切符しか持ち合わせていなかったのは致命傷と言える。

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ここは是が非でも突破せねば。橋梁上で一息つき、再び走り出す頃には17時を当に過ぎていた。ヤバイ、時間がない!しかしそれを嘲笑うかのように橋梁の先に広がるのは藪の海であった。

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