ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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厚雲峠(6)

★★★

 

厚雲峠の取扱説明書

渡島と檜山を結ぶ峠として僕は初戦に姫侍峠をチョイスした。そこは幾度となく対戦し、酸いも甘いも熟知した峠であり、何等かの不可抗力や自らのミスで撃沈しない限り勝って当たり前の、云わば格下相手の前哨戦と言える。ところが今度の相手は全くの未知数で、事前情報も得てなければ、突っ込むのも初めて。ましてや現役時代さえ通った事のない、全てが初物尽くし。そんな初めてのお使いシリーズに相応しい厚雲峠の現状にORRのメスが入る。

 

厚雲峠6

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

現道からの取り付けを滑り降りると、そこには確かに旧道があった。やはりこちらものっけから廃道である。但し逆側と決定的に違ったのが、こちら側はゲートが設置されていなかった事だ。植生の密度に関しては反対側と比べて幾分ましで、手入れを怠った林道といった感じだ。こちらも割りと路盤はしっかりしていて、基本的には刈り払いをしてやれば、今すぐにでも使えそうな状態が続く。

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

こちら側なら車両が入ってきているかと思ったが、やはりそんな物好きはそうそういるはずもなく、単車も四輪のものも一切のタイヤ痕を見付ける事は出来なかった。一瞬はタイヤ痕かと思わせる路面状態もあるのだが、日当たりが良い上に砂状となった路面には、ただ単に植物が根付き難いだけで、それがあたかもタイヤ痕のように見えただけに過ぎない。

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

現道でさえ、いったいいつになったら車両が通るのかという心寂しい僻地にあって、更に誰も入りそうにない廃道に突っ込んで、タイヤ痕などそうそう付いている訳がない。こちら側は川沿いを進む訳でもなく、硬い岩盤の側面をガリガリと削った山肌を縫うように、勾配の緩いトラバース区間が続くのだ。そこにはまずまずの道路遺構がラインナップされていた。

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

ガードレールならぬガードロープが途中何度か途切れながらも、二度と通る事のない車両を今でも守っていた。恐らく現役時代は電気が流されていたのだろう。大仁田様御一行もこの道をこよなく愛したに違いない。勿論現在電気は完全に遮断されているので触っても大丈夫だ。また落石注意やこの先カーブありなどの標識が次々と現れ、現役時代のまま全てがここにありのまま残され、まるで時が止まったかのように状態だ。

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

鉄製の金網に守られた区間が長く続き、それだけ当路線は細かい落石が多かったのだろうが、それにしては廃道化後もたいした崩落もなく、ここまで薮以外に何も障害らしい障害が無かったのはある意味奇跡と言えるかも。だがしかし遂に決定的な障害物が目の前に立ちはだかった。行く手を塞ぐ直径30cmはあろうかという巨大な倒木は、とても人力で動かせるレベルでない事はすぐに理解できた。

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

これは一旦荷物を降ろし、手前に枝やら小石やらを宛がって、段差を緩めにすれば越えられる。実はここまで映っていない場面では、直径10cm程度の倒木をいくつか跨いでいる。空荷なら何ともないレベルでも、荷台のキャリアが折れる事を考えると、全てを勢い任せで突っ込む訳にもゆかない。

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

そのたびに小枝や小石を敷き詰め、段差を緩めにしてひとつひとつ丁寧にクリアしてゆく。倒木に宛がわれたそれらの段差は、後日後輩が訪れた際に大いなる安心材料となるだろう。僕も何度も先人達の残した足跡に勇気をもらったし、僕もまたここに足跡を残した。

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