トップ>廃道電撃ネットワーク>東海>三重>坂下峠(神大滝林道) |
|
坂下峠(神大滝林道)(2) ★★★★★ |
|
坂下峠(神大滝林道)の取扱説明書 中京圏と関西圏の間に、どうしても越さねばならぬ難所がある。ある国道は隧道にて、またある道は鞍を直に跨ぎ、その難所を越して行く。国道から林道に至るまで様々な道が、二つの大都市圏を分断するその山脈に付けられた。東海道の難所として知られる鈴鹿峠を筆頭に、酷道の代名詞とも言える石博峠など話題に事欠かないこの山脈に、史上稀に見る極悪路線が付けられている。その路線名称を神大滝林道という。ここにORRのルーツがある。今明かされるへなり誕生夜話、今宵その全てを話そう。
|
|
|
ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR 確か当時の地図には自然の厳しさを身をもって知るだとか何とか記されていたと思う。当時地図上では紫色になぞられた当路線を僕は完全になめていた。というのも生まれてこのかた河原などの砂利道の上を、自らの操縦で走った事もなければ、未舗装林道の1本も走った事がなかったのだ。嗚呼それなのに、何をトチ狂ったか僕はそれまで鈴鹿峠を何も考えず車の隊列に挟まれて |
|
ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR 越して行くはずだったのに、何故か一人隊列から外れ、旧道へと降り立ったのだ。それまでも急に進路を変える事はたびたびあった。バイブルであった時刻表を捨て、免許取得と同時に僕のバイブルは地図に代わった。時間という呪縛から鼻垂れ、バイクという自由の翼を手にした僕は、それはもう国道だろうが県道だろうが市町村道だろうが関係なしに縦横無尽に走り尽くした。 |
|
ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR どの路線だとかのこだわりは全くないのだ。その道の先にあるまだ見ぬ風景を求めて、ただただ純粋に走る。走り出し当時の僕にとって地図とは出発前に開くものではなく、ムチャクチャに走って現在位置や向かっている方向が分からなくなった時に初めて開くものであった。勿論目的の場所や指定時間などがある場合は予めルーティングしておくが、それはそれで既に自由度を |
|
ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR 失っているし、道を限定してしまうというのも好ましいものではなかった。ただその日はしっかりとした目的があったのだ。今でもはっきりと覚えている。僕は東京から一路京都競馬場へ向かっていた。まだ薄暗く肌寒い昼間の喧騒が嘘のような午前4時、夜のお仕事を終えたオネータマ達を乗せたタクシー連中と競い合うようにして246を西へと流した。鈴鹿峠に差し掛かったのが |
|
ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR 12時を回った頃か。目的はメインレースのみであるからして、まだたっぷりと時間はあった。峠を越せば京都はもう目と鼻の先だ。京都競馬場は別名淀競馬場とも呼ばれているが、当時の僕は京都へ行けば必ず舞妓さんに会えると思っていた。サブの目的は舞妓さんと清水寺の生やつはしである。石を投げれば舞妓さんに当たるというくらいウヨウヨいるのだろうなと勝手に |
|
ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR 思い込んでいた。当然京都競馬場にもウヨウヨいるはず。こりゃ一石二鳥じゃないか。あわよくば競馬場で仲良くなって、夜の料亭に誘われちゃったりなんかしちゃって、いい感じに出来上がった所で、ふすまを開けると布団が敷いてあったりして。越後屋お主も悪よのう状態ってか。僕の頭の中ではすっかりセッティングも完了し、あとは一路マイコー競馬場を目指すのみ。 |
|
ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR 今にして思えば何故そんなおいしい夢のようなひと時を蹴ってまで急に進路変更し、訳の分からん道へと舵を切ってしまったのか全く思い出せない。ただ旧道へ降りたというよりは、何かに導かれたと言った方が正しいのは確かだ。何かに呼ばれたか?そんな神憑り的なものを感じるのだ。 坂下峠3へ進む 坂下峠1へ戻る |