ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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坂下峠(神大滝林道)(5)

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坂下峠(神大滝林道)の取扱説明書

中京圏と関西圏の間に、どうしても越さねばならぬ難所がある。ある国道は隧道にて、またある道は鞍を直に跨ぎ、その難所を越して行く。国道から林道に至るまで様々な道が、二つの大都市圏を分断するその山脈に付けられた。東海道の難所として知られる鈴鹿峠を筆頭に、酷道の代名詞とも言える石博峠など話題に事欠かないこの山脈に、史上稀に見る極悪路線が付けられている。その路線名称を神大滝林道という。ここにORRのルーツがある。今明かされるへなり誕生夜話、今宵その全てを話そう。

 

坂下峠(神大滝林道)5-1/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

遂にロリエワンがV字の窪みを捉えた。坂下峠に降り立ったのだ。決して軟着陸とは呼べないお粗末な操縦ではあったものの、様々な障害、自ら課した重ハンデを克服し、人知を超えた巨体を峠に添えたのだ。もはや車道としての機能を完全に失ったかに見えた坂下峠に、一般常識を逸脱した酷量を背負った過積載の単車を、気合のみで持ち込んだ意義は計り知れない。これを

坂下峠(神大滝林道)5-2/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

見た郵便屋さんが何を勘違いしたか、これが郵政民営化じゃ〜!と雄叫びをあげ、手紙や葉書を撒き散らしながら峠越えに挑むかも知れない。またこれに触発された新聞屋さんが何をトチ狂ったか、俺もいつまでもぬるま湯配達じゃいかんぞなもしと、いつもの鈴鹿峠経由から坂下峠に変更しないとも限らない。峠には有志達の手によってか公共のものかは分からないが、今にも

坂下峠(神大滝林道)5-3/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

吹き飛んでしまいそうな標識が倒木にくくりつけてあった。鈴鹿山脈の縦走ルートに位置する坂下峠は、当然如しハイカーが越して行く。但し登山者が坂下峠を直接越して行く事はなく、この完全なるV字を見る事なく横切って行くはずだ。何故なら縦走ルートは第二セクション付近に付けられており、実際の峠を越して行く訳ではないからだ。そりゃそうだろ、実際の峠は今我々が

坂下峠(神大滝林道)5-4/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

立っている遥か頭上にあったはずなのだ。そこをこうして真っ二つに割ってしまったのだから、それまで尾根伝えを正確に通していたとしても、坂下峠は車道の存在によって事実上寸断されていて、もし尾根上を正確にトレースすると、我々の遥か頭上の断崖絶壁にて行き場を失う事となる。従って登山道を車道へと緩やかに導く必要性があった。第二セクション付近へ付けられた

坂下峠(神大滝林道)5-5/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

登山道から、それまで景色の良い尾根伝えを歩いて来たハイカーが、わざわざ坂下峠まで登ってくるとは考え辛い。よってこの景色を眺めるのは極一部の限られた者のみである。かつて四輪を通していた痕跡などまるで失く、もはやタイヤ1本分を残し、きっちりと割れてしまっている坂下峠は単車1台を立てて置くのが精一杯で、二台並べようものなら、どちらかが遠慮しなければ

坂下峠(神大滝林道)5-6/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

ならず、単車同士の離合もままならない状態なのだ。しかも路面は完全なサンド質の砂浜状態であり、スタンドには大きめの石を宛がわないと、すぐに埋もれて倒れてしまう。草木も生えない荒涼とした峠には、かつて四輪が通っていた頃の面影も、その痕跡に至るまで一切の手掛かりを消失し、現場に残された僅かな道路構造物だけではほとんど迷宮入りに等しい坂下峠。だが

坂下峠(神大滝林道)5-7/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

それでいいのだ。鈴鹿峠の西方僅か2km足らずの地点に、一部の限られた人間しか踏み込む事を許されない神の領域があった。坂下峠からの眺めに一切の能書きは不要だ。神秘的とも幻想的とも言える坂下峠。ここに道路美学の究極の形がある。と僕は改めて感じる次第なのである。

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