トップ>廃道電撃ネットワーク>北近畿>兵庫>古坂峠 |
|
古坂峠(9) ★★★ |
|
古坂峠の取扱説明書 2006年の幕開けと共に古坂峠に関する情報が日増しに届くようになり、報告書のノルマ達成に向けてクラッシュ寸前にあった僕の周囲はざわついていた。何やら関西勢の猛者が総力結集しての一大イベントだそうで、ある人はそれを古坂フェステバルと呼んだ。やがて僕の手が及ばない遠い彼の地で祭りは盛大に催され、気が付けば事態は収束、まるで一過性のブーム宜しく沈静化した古坂峠に人影は無かった。この峠でいったい何があったのか?僕はどうしてもここで起こった事の全てをこの目で確かめずにはいられず、遅ればせながら未踏の地へ初出陣と相成った。そこで目にしたのは偉大なる先人達の汗の結晶であった。この報告書は古坂峠の再開通に関わった全ての方へ感謝を込めてお贈りするレポートである。
|
|
|
道路遺構の調査発掘専門サイト:ORRの道路調査報告書 迫り来る現道とはまるで反比例するかのように、路面状況は悪化の一途を辿った。絡み付く弦や枯れ枝の障害をひとつひとつ避けながら、恐らく歩いた方が早いであろう亀の如し鈍足で歩を進めた。足元が確認できないほど様々な植物に覆われ、自然に還りつつある峠道の現状。もうそこは道路などではなかった。その光景からここをかつて車両が越えた事を想像する事は出来ない。 |
|
空前のスケールで贈る道路大全:ORRの道路調査報告書 僕がこの激薮と格闘し、国会の牛歩戦術の如しちまちま進んでいる間も、容赦なく耳に飛び込んでくる車両のノイズ。信じられないかも知れないが、その走行音は確かにその昔この舞台から聞こえたはずなのだ。だが今はそこに写るヘナリワンがまるで場違いな遺物のようにしか見えず、この三十数年ですっかり様変わりしてしまった古坂峠。足元も全く見えなくなってしまった時点で |
|
お探しの道路がきっと見つかる:ORRの道路調査報告書 何だが嫌な予感がしたが、それが今現実のものとなって目の前に現れた。おびただしい数の倒木群。これまでも何度かそのような障害を目の当たりにしてきたが、回復可能な林道等ならまだしも、廃道上で見るそれは、まさに酷民総ムンクの叫びと化す程の未曾有の大惨事。兎も角絶望的な光景である事は一目で分かった。果たしてそれは天災か人災か?巨大なヘアピンカーブに襲い |
|
羅針盤、それは地図とカーナビとORRの道路調査報告書 掛かった倒木の数は十指に余り、中には人力による切断を鼻っから否定せざるを得ない胴回りの巨木も含まれた。そこは一日二日でどうこうなるようなレベルではなかった。まさに絶体絶命のピンチである。だが僕はそこに偉大なる先人達が築いた迂回路を見た。ヘアピンをショートカットする形での迂回路が新設されていたのだ。傾斜は45度近くあり、初心者でなくとも充分ビビって |
|
www.henari1.jp ORRの道路調査報告書 しまう高さの斜面は、道路規格としては全くのイレギュラーであったが、そこに残された複数の轍跡が躊躇する僕の背中を後押しした。恐らく有志達は始めにヘアピンカーブの忠実なトレースを試みたに違いない。倒木の切断にトライした痕跡がそれを物語る。だが開通の見通しが立たず、苦肉の策としてショートカットを選んだのだろう。もし僕が先発隊としてこの地に赴いたならば、同じ道を |
|
ヘナリワンドットジェイピー ORRの道路調査報告書 辿ったに違いない。単車専用ではあるが、一条の命綱とも言えるショートカットにより、僕は一瞬にして難関を通過した。人力のみによる突貫工事は、開通までどれほどの時間を要しただろうか?もしもこの迂回路が無ければ古坂峠の突破はどう転んでも不可能であったと断言できる。今さっき頭上から見下ろし、他人事のように思えた下界の惨状。当事者意識の欠如と言ってしまえばそれ |
|
おはようからおやすみまでORRの道路調査報告書 までだが、飛んで火に入る夏の虫と、先人達が用意してくれた救済路。そのどちらの現実も甘んじて受け入れなければならない。再開通に携った全ての方に感謝し、この場を持って礼を述べたい。本当にありがとう!だが先人達の偉業、その本領が発揮される場はまだ先にあったのだ。 古坂峠10へ進む 古坂峠8へ戻る |