ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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旗返峠(3)

★★★★

 

旗返峠の取扱説明書

新道が完成し旧道と化した区間や、用を終えた林道が廃道化したなどの理由により、地図上から抹消されるという現象は、然程珍しい事ではない。だが新道やバイパスのような迂回路が完成した訳でもないのに、人知れず静かに消されて行く道が、極稀に見られるのも事実だ。その象徴的な物件としては戸谷隧道が挙げられる。そしてここ大分にもそんな不可解な物件がある。それが県道706伏野宇目線旗返峠だ。何故この道は地図上から消されなければならなかったのだろうか?1996年初めて旗返峠に立ったその日から、10年の時を経て、遂に謎多き県道の実態が報告書によって明らかとなる。

 

旗返峠3

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

ヘキサの先には無情にも非常に判断の迷う二股が現れた。奥畑川を跨いで再び右岸へと戻る道、そのまま左岸を進む道、いったいどちらが正解なのだろう?案内板の姿は全く見当たらない。どちらとも言えないここはひとつ山を張るしかない。実は10年前もこの分岐点で僕は迷った。現在地から見ればこの後合流するはずの国道は、左方向にあるはずなのだ。従って奥畑川を跨がすに左岸を進むのが正しいはず。

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だが頻繁に使われていそうな感じがするのは、明らかに右岸へと進む方の道なのだ。手掛かりの全く掴めぬ状況下で散々悩んだ末、僕は10年前もそして今回の取材でも迷わず右へと舵を切った。しかしそれは不正解。それは単なる林道で先へ進めば進むほど作業道のようになり、やがて消滅する行き止まりの道なのである。

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当時の微かな記憶を頼りに辿る我が10年前に刻んだ足跡を、奇しくも正確にトレースしてしまった訳だが、それくらい判断が難しく、また当時は今よりも観察力に長けておらず、一目散に峠を目指した為、周囲の状況も良く覚えていないのだ。それでも道を誤ったと気が付いた地点には見覚えがあり、そこだけは嵌められたという印象が強くあったからこそ、そのシーンだけ脳裏にはっきりと焼き付いていたのだろう。

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

Uターンした時と全く同じ場所で引き返し、僕は再びあの二股へと戻ってきた。もう迷う事はない、左岸を直進だ。そうしてほとんど林道か作業道かと思えるガタボロのダートを、奥畑川を右手に見ながら一心不乱に突き進む。だが再び行く手に二股が立ち塞がった。しかしここは楽々クリアだ。これから峠を目指さねばならぬ身。

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下り行く右方向はどう考えてもパスだし、国道は左方向にあるが故に、とにかく分岐に差し掛かった場合は左へと舵を切ればいい。そうしてシャッターを切るだけで難なく左の道を進むと、杉木立の中を行く路面上には枝葉が散乱し、砂利がほとんど隠れてしまっていて、とても県道と呼ぶには程遠い状態であった。そこを抜けると久しく離合ポイントらしき広場が現れる。焚き火の跡があり、山仕事に従事するおいちゃん達が残したものだろう。

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さあ、問題はその先だ。ここまでいくらガタボロのダートだったとは言え、スピードは出せないものの、ロデオ状態になるほどのものではなかった。しかしここからは訳が違う。完全なる廃道の始まりなのだ。ご覧頂きたい。路面の左側は雨後川になってしまうのだろう、完全に削られ川床の様相を呈している。これより先普通車では完全にアウチとなる。

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焚き火の広場、そこが一般的な車両の限界地であり、転回場所として利用されているのだろう。実質0.5車線と化した路面を慎重に進むと遂に視界が開けた。周囲のどの山肌にも引っ掻き傷など見られない。という事は頭ひとつ下界の森から抜け出したこの道だけが、峠へ向かう資格を有しているはずだ。

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