ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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旗返峠(2)

★★★★

 

旗返峠の取扱説明書

新道が完成し旧道と化した区間や、用を終えた林道が廃道化したなどの理由により、地図上から抹消されるという現象は、然程珍しい事ではない。だが新道やバイパスのような迂回路が完成した訳でもないのに、人知れず静かに消されて行く道が、極稀に見られるのも事実だ。その象徴的な物件としては戸谷隧道が挙げられる。そしてここ大分にもそんな不可解な物件がある。それが県道706伏野宇目線旗返峠だ。何故この道は地図上から消されなければならなかったのだろうか?1996年初めて旗返峠に立ったその日から、10年の時を経て、遂に謎多き県道の実態が報告書によって明らかとなる。

 

旗返峠2

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本来ならば案内板と同じ場所に立っていなければならない三国峠と記された白看が、何故か県道に進入しないと確認できないような奥まった位置に設置されていた。その真意は定かでないが、ここで言う三国峠とはここの事である。白看は三国峠へ行くには橋を渡れと指示している。橋を渡り2車線の坂道を駆け上れば、そこには巨大な橋脚が待ち構えている。

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何もない山中にはおおよそ似つかわしくないその橋梁の上には、これまた山深い場所とは縁遠いと思われる大型トラックやトレーラーなどが行き来している。高速道路かと思えるその立派な道路は、その昔三国峠をえっちらこっちら越えていた極狭のローカル国道が完全に生まれ変わった現在の姿なのだ。それまで大型車の定番コースは中ノ谷峠、宗太郎峠と相場が決まっていた。

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ところが近年三国峠に登坂車線まで備えた2車線路が全通し、難所のほとんどをトンネルと高架橋で結ぶという高速道路並みのフル規格で結ばれ、それは旧道と比較のしようもないほどの変貌ぶりで、宗太郎峠から完全にその覇権を奪ったのである。国道は三国峠を、県道は旗返峠を越して二つの路線はやがて一つになるのだが、問題は果たして旗返峠が車両を通しているのかどうかである。

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現在の地図では旗返峠の前後僅か1km強の区間が点線として表記されている。そこがどのような状況であれ、車両を通していれば、国道に合流するはずなのだ。県道は奥畑川に沿って上流部を目指すも、峠はまだ遠いのかその勾配は非常に緩やかである。分岐点よりやや外れた沿道には1軒の廃屋がある。電気も通っていて、まだ使えそうな家だ。結果的にそれがこの県道上に見る最終人家となる。

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廃屋を過ぎても尚路面はアスファルトが敷かれ、あわやこんな調子で峠を越えられるのではないかと楽観した時点で、早くもその夢は打ち砕かれる。奥畑川に小さな滝がチラホラ現れ、プチ渓谷のような様相になってきた所で、県道もらしさを失い林道のような状態になってきた。と思ったら遂に何でもない地点で突如舗装が途切れてしまった。どこかで林道に切り替わったか、それともここはダート県道なのだろうか?

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地図を信じるならば、県道は点線区間を経て国道にぶつかっているはずなので、このダートは県道であるはずだ。しかしその証拠はどこにも無い。途中には判断を誤るような分岐は一切無く、ここまでほぼ1本道である。奥畑上流部に向かってずっと右岸を進んで来たが、砂利道に変わってから小さな橋梁で左岸へと渡された県道。その先にそれはあった。

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ヘキサである。これにより当路線がダート県道である事が確定となった。驚くべきはその向きである。ヘキサはこれから峠に向かう者に対してではなく、峠方面から下って来るものに対して県道である事をアピールしていたのだ。これは行けるのか?

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