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www.henari1.jp ORRの道路調査報告書 ODA ROAD RESEARCH

〜ツーリングマップルで訪ねる万の峠と億の道〜

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トップ>旧道データバンク>北海道(道央)>石狩支庁>送毛峠の実走調査レポート

送毛峠()

★★★★

送毛峠1-1

◆送毛峠1−1:国道231号線新旧道交点(浜益側)

浜益村、所々にその名残が見られるも、平成の大合併により現在は石狩市に編入され、浜益村の呼び名は急速に衰えつつある。地図上からは逸早くその名が消え、かつての境界線も最新の地図では完全に消え失せている。

時代が変わったのだと言われればそれまでだが、長年親しんできた村の名が消えるのは部外者の僕にとっても寂しいものだ。僕の中では今以て送毛山道=浜益村であり、それを石狩市と自身の中で消化するには、もう少し時間がかかりそうだ。

送毛峠1-2

◆送毛峠1−2:家々の軒先を掠める旧道

今でも使われているバス停以外には目立った目印も無い分岐点より山道は開始される。線形を見れば山側に進路を取らず、相変わらず海岸沿いを進もうとする細い線が、かつての本線である事は明白だが、センターラインの刷り込まれた左へと緩やかなカーブを描く現在の本線が、それを遠い過去のものとしている。

旧道へと一歩足を踏み込めば、そこは現道沿いに望む風景とは別次元の、昭和をイメージさせる鄙びた漁村の風景が展開し、ほのかに漂う磯の香りが鼻腔を擽る。

送毛峠1-3

◆送毛峠1−3:毘差別川を跨ぐ橋梁

沿道にはほとんど隙間無く家屋が連なり、上物は大きく変わっているのだろうが、道路を挟んで軒を連ねる昔ながらの佇まいはそのままに、代わり映えせず今に伝えるこの街並みこそが、かつての本通りである証左だ。

昆砂別川に架かる橋梁の銘板には、昭和47年7月とある。今日見られるそれは少なくとも二代目で、歴史を掘り下げれば更に代を重ねている可能性がある。そのヒントとなりそうなのがこれだ。浜益村史を紐解けば、江戸時代までは公然と行われていた駄賃を徴収しての川渡りも、明治の初頭には橋が仮設されたとある。

送毛峠1-4

◆送毛峠1−4:旧道は時速30制限

記録によると明治6年には、昆砂別川より遥かに大きく、渡し舟で渡るのが常とされる村内を二分していた浜益川の河口より数百m上流に、黄金橋という名の橋が仮設されたというから、その頃の昆砂別川に初代の木橋が架設されたとしても何等不思議でない。

しかし陸の孤島と呼ばれ、陸路では内陸部と接点を持たない悪条件にありながら、ほぼ文明開化の鐘が鳴り響くと供に、この地にも近代的な土木工事が施工されていたとは驚きだ。どうやってそのような発想なり技術なりが、昭和の末期まで陸の孤島と称されたこの地に入ってきたのだろうか?

送毛峠1-5

◆送毛峠1−5:冬季通行止を知らせる案内板

今でこそ札幌まで陸路で1時間半圏内の浜益であるが、その昔は船舶による海上輸送にほぼ全面的に頼らざるを得ない時期があった。この地において最も古くから使われ浸透していた輸送形態が海上輸送であり、それは松前藩による統制の時代より、昭和初期まで主流であり続けた。

但しそれまで陸路に全く恵まれなかったかと言えばそうでもなく、幕府の命により石狩は厚田より濃昼へ至る濃昼山道、更に浜益まで足を伸ばす送毛山道、そこから雄冬を迂回する増毛山道が開削され、石狩より増毛に至る陸路が一本で結ばれる。

送毛峠1-6

◆送毛峠1−6:近年設置された青看

しかしそれは今日で言う道路とは程遠い姿で、人と牛馬の通行がやっとの登山道に毛が生えた程度の規格であったようだ。濃昼→送毛→増毛と切り拓いた山道も、結果的に車道まで昇格したのは送毛山道のみであり、濃昼及び増毛山道は車道に成りきれぬまま、歴史の表舞台から退いている。

厚田から増毛にかけて連綿と続く徒歩道から唯一脱却し、車道規格で整備され自動車を通す歴とした国道として、同期の山道より頭ひとつ抜け出た送毛山道。その立ち上がりには、設置されて日の浅い瑞々しい青看が、待ってましたとばかりに観光客を手放しで迎え入れる。

送毛峠1-7

◆送毛峠1−7:青看板に刷られる峠名

 この山道を旧道と意識して進入する者は稀で、大方は単なる村道、或いは林道だと思っているのではないだろうか。現に市販の地図にはこの路線を送毛林道と表示しているものもあり、この山道がその昔は国道であった事など想像すらつかない人も多いはずだ。

 実際問題としてこの山道を上り詰める者の多くが、千本ナラの観賞が目的で、山道の完走よりも浜益側の往復に終始する者の方が圧倒的に多い。ただ青看はさりげなく我々に語りかける。トンネル開通以前の路がここに通じていた事を。

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