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www.henari1.jp ORRの道路調査報告書 ODA ROAD RESEARCH

〜ツーリングマップルで訪ねる万の峠と億の道〜

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送毛峠()

★★★★

送毛峠2-1

◆送毛峠2−1:新築物件が並ぶであろう分譲地の直線

昆砂別川を跨げば人家は急激に減少し、対岸より100mそこそこで集落は完全に途切れる。これより先は本格的な山岳道路だ。送毛山道という呼び名がそれを端的に示すが、今日我々が見る山道は牙を向くような険しいものではない。現在の北海道における標準的な二車線規格には遠く及ばないが、本州ならばセンターラインを引いてしまえば、即二車線路として通用するであろう幅員を持つ。

札幌から飛ばせば1時間少々という立地条件からか、こんなところにも開発の手が伸びてきているようだ。旧道沿いには別荘販売を匂わせるのぼりが幾つも立ち並ぶ。

送毛峠2-2

◆送毛峠2−2:浜益市街地を一望

人口100万人を抱える巨大都市が国道231号線の全通により商圏となったのだから業界の鼻息も荒い。陸の孤島と称されるだけあって外部からの影響を過渡に受けず、幕末から明治初頭にかけて本土から入植してきた移民達が根付かせた風土を色濃く残し、道内では最後まで開発の手から逃れてきた浜益。

何もかもが計算され尽くした碁盤の目のようなつまらない区画整理とは無縁で、昔ながらの海山川と調和する自然に溶け込んだ漁村風景が現存している点は、浜益の魅力のひとつと言えよう。

送毛峠2-3

◆送毛峠2−3:昆砂別園地

年金問題が叫ばれて久しい昨今、ここにも郵便年金を投じて造成された広場がある。上り途中に見た青看に昆砂別園地とあるそこは、送毛トンネル開通以前の過去の地形図を引っ張り出しても記載されている事から、単なる思い付きと年金垂れ流しによる副産物ではなさそうだ。

他の多くがそうであるように、その昔はだだっ広い敷地が用意されているだけの広場に過ぎなかったのであろうが、今では展望台に水洗トイレまで設置され、様相は一変している。本来ならばこれは峠にあって然るべきものだが、送毛山道の全線を通じて公衆トイレが設置されているのはここだけである。

送毛峠2-4

◆送毛峠2−4:直登に等しい電線の合間を縫う旧道

この先にある送毛山道内で最もホットな場所を初め、峠にもトイレ及び休憩所は存在しない。なのに立ち上がりに近い園地には、水洗トイレも東屋も展望台もある。最終人家からも結構な距離のあるこの施設を一体全体誰が利用するというのか?と、維持費や管理面の観点から首を傾げざるを得ないが、その背景には歴史に埋もれた悲話があった。

今でこそ無駄な施設にも映る昆砂別園地。そこから先は急激な上り坂が続く。その途中の左手には小さな神社がある。僕の問いかけに村民のひとりが重い口を開けた。

送毛峠2-5

◆送毛峠2−5:第一サミット

大東亜戦争も末期の頃になると、この地に住むまだ二十歳にも満たない十代の若者達にも召集令状が届くようになる。赤紙を手に少年兵達は、浜益村から送毛峠を越えて、石狩へと出兵したのだと言う。

遠ざかる故郷を背に、二度とその土を踏めぬやもしれぬ浜益の漁村を、峠道より何度も何度も振り返りながら、その目に焼き付けていったのだという。そうして最後に浜益村の全景を見渡せるのが、昆砂別園地なのである。

送毛峠2-6

◆送毛峠2−6:送毛林道との交点

浜益村を出て最初に迎えるサミットがこの交点で、すわ峠かと一瞬油断するも先はまだまだ長い。第一サミットより未舗装路が枝分かれしているが、この砂利道が新設の送毛林道である。

これより先は一旦大きく落ち込む形で高度を下げ、その後千本ナラを右手に見つつ、二度目のサミットを迎える。そこが本当の峠だ。第一サミットから第二サミットまでは、小刻みにアップダウンが続くも、いかなる突端からも浜益の集落を望む事は叶わなかった。

送毛峠2-7

◆送毛峠2−7:概ね1.5車線キープの快走路

昆砂別園地を最後に一度視界から消えた故郷の姿は、深い森に阻まれ最初のサミットにおいても拝む事は出来ないし、第二サミットに至っては、視界前方のみが大きく開けるだけであり、真の鞍部より下り始めればもう後戻りはできない。右も左も分からない少年兵達は、そこで覚悟を決めたのだという。

今でこそ幅広の舗装路となっている送毛山道も、当時は濃昼増毛と並ぶ車両の通行を許さぬ徒歩道規格であった。当初は馬車道先鞭説を疑ったが、村史から拾い上げる事も無ければ、村民の口を突いて逸話が出る事も無かった。

送毛峠3へ続く

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