ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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船坂峠(3)

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船坂峠の取扱説明書

大阪と北九州を結ぶ日本の大動脈とも呼べる主要国道の岡山と兵庫の県境に、海抜145mという山間部にしては屁みたいな峠がある。現在は大型車同士の相互通行が可能なトンネルによって、昼夜を問わず留まる事なく様々な車両が往来し、特に国の根幹を成す道路とは切っても切り離せない大型トラックの通行が目立つ船坂トンネル。現代の殺人的な交通量をその昔はどのようにして処理していたのだろうか?トンネルのある所に旧道ありの鉄則通り、ここにも峠道がある。それが今回のターゲットである船坂峠だ。僕はそこで驚愕の光景を目にする事となる。

 

船坂峠3(岡山県側)

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記念碑にはこのように記されている。最近彼女がナナメイクに走って困っています。本人は綺麗になったつもりでしょうが、ほとんどパンダです。それも愛らしいふっくらとしたパンダではなく、痩せ細った病的な今にも逝きそうな状態のパンダです。面倒見切れないのでこのまま中国へ返還しようと思います。これは切実な悩みですな。ここに記念碑を建立したのも納得です。この記念碑の先にはアベック用かベンチが据え置かれている。

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が、注目すべきはそれではなく、足元の路面状態だ。よーく見て欲しい。中央に雑草が生え、緑のセンターラインのようになっている。それ自体はそれほど珍しい現象ではない。これまでも何度か割れたアスファルトの隙間から、雑草が生えているのを見てきたし、最近では根性野菜とかいうのがもてはやされていて、街中の街路樹の根元に突如大根が生えてきたとか騒いでいるが、そういった事ではなく、注目すべきは何故路面中央に亀裂が入っているのかという点だ。

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それも計ったかのように正確にだ。もしもこの下に下水道の配管類が埋設されているとするならば、それ相応の幅を掘り返す為、工事完了後は掘り起こした箇所だけアスファルトを敷き直し継ぎ接ぎ状になるか、周囲の古いアスファルトも全て引っ剥がして全面舗装し直すかのどちらかだ。しかしこの道はそのどれちらにも該当せず、道のど真ん中に一条の筋が刻み込まれているだけである。

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僕はそれを見てピンときた。現在2車線路で道路工事をする場合、全面通行止という事はまず有り得ない。よっぽどの理由がない限り全面通行止の許可は下りないのだ。従って片面ずつ工事をして片側交互通行になるのが一般的である。その際2車線のど真ん中に丁度切れ目が出来る訳だ。交通量が多く常に風が吹き荒ぶ中で、種子が切れ目に着床し根を生やすのは難しい。

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こことて現役時代はそうであっただろう。だが、旧道と化した船坂峠は絶える事の無かった嵐から開放され、周囲の木々達も思いっきりその枝葉を伸ばす事が出来るようになった。そうして微かに吹き抜ける風に乗って路上に着弾した種子のうち、うまくアスファルトの割れ目にヒットしたものが、そこに生命を宿したのではないかと。結論はつまりこうだ。ここは現役時代2車線の峠道であった。

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旧道化したのに伴い歩道へと転用され、その際無駄に広い幅員を歩道サイズへと縮小した。中央から左右1mずつを残し、その外側は自然に還すべく緑地帯とした。これが現場に残された物証から推察した僕の仮説である。なだらかな丘の如し長い直線によって導かれる船坂峠は、現役時代も見通しの良い峰越えルートだったようだ。

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道路脇には当時を偲ばせる残骸が転がっているが、そこがかつて路面であった事はほぼ間違いない。長い直線路は両側の斜面まで、約3車線はあろうかという広さの平坦路で、元々1車線であったと説明する方が難儀する。

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