ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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野道峠(5)

★★★★

 

野道峠の取扱説明書

日本海と周防灘を縦に結ぶ当路線は、近年全線に渡る改良がほぼ完了し、ネズミ捕りが心配なほどの快走路へと生まれ変わった。かくて越えねばならぬ難所の峠は、全てトンネルで通され、いくつもの旧道が誕生した。中でも特筆に値するのがここ野道峠だ。その下を突いた近代的なトンネルを見る限り、路線変更前は見通しの悪い1車線の単なる山道だろうと思っていた。確かにそれはそうなのだが、野道峠は当路線に残された他の旧道群とは決定的に異なるものを持っていた。まかり間違ってこの世界へと足を踏み入れた者を魅了するものを。

 

野道峠

道路遺構の調査発掘専門サイト:ORRの道路調査報告書

もし路面にコンクリを敷いていなかったらと思うとゾッとする光景だ。背丈と同等の笹薮が今にも路面を覆い隠さんばかりの勢いで猛烈に繁殖しているのが分かる。途中に見た人工物が無ければ、或いは定期的に検査する必要の無いものであれば、ここにコンクリが打ち込まれる事も無く、もしそうであったならば、足元も見えないような、恐ろしいまでの死の道と化していた事だろう。

野道峠

空前のスケールで贈る道路大全:ORRの道路調査報告書

路面のコンクリは後年になって敷かれたもので、現役当時の道路遺構ではなく、僕はどこかに当時の道路遺構が隠れていやしないかと、細心の注意を払い時間をかけて慎重に前進を試みた。その甲斐あってか斜面の木々に完全に同化した法面を発見する。以前なら抜けるのに必死で、そんなものは眼中になかったが、今回は数回目という事と何と言っても空荷という点でかなりの余裕が

野道峠

お探しの道路がきっと見つかる:ORRの道路調査報告書

あった事が幸いした。完全に苔生したその姿は、テンパッている時には見落としかねないほど周辺の木々と同化している。明らかに頑丈そうなコンクリ壁は、そこが最も崩れやすい土質である事を示しており、何度か大きな土砂崩れを起した場所だからこそ、そこに築かれたのだろう。もっと国道らしい遺構はないものか。僕は周囲雑木林の隙間に目を凝らしたが、なかなか物証は得られない。

野道峠

羅針盤、それは地図とカーナビとORRの道路調査報告書

その先も行く手を塞ぐような倒木は無かった。正確に申せば確実に道を塞いでいたであろう倒木が道路に向かって今でも倒れこんでいるのであるが、見事に切断されているのである。その断面は非常にシャープで、手ノコで切断した時のような歪みは一切見られない。チェーンソーにより一瞬にして切断されたものだろう。軽トラが通過可能な必要最低限の倒木は除去されていて二輪での

野道峠

www.henari1.jp ORRの道路調査報告書

通過は楽勝であった。今でこそ周囲を笹薮に覆われてしまっているが、現役時代は赤松に囲まれた雰囲気の良い道であったのだろう。場所によっては街道らしい雰囲気を今でも色濃く残している。全体的な勾配はとても緩やかで、昔の馬車に対応した規格の道程である事は疑いようがなく、この峠道の歴史はかなり古いものと思われる。次に現れた法面はカーブに設置された大規模な

野道峠

ヘナリワンドットジェイピー ORRの道路調査報告書

もので、そこだけは幅員も広く普通車同士の離合を可能としていた。路面はコンクリが敷かれていないのか、剥がれてしまったのか、はたまた土砂や落ち葉が大量に蓄積したのか定かでないが、完全なダートになっている。その先も判然としないダー舗状態が続き、間もなく峠に達するのだが、決定的な道路遺構はまだ見つかっていない。今ではすっかり快走路に生まれ変わってしまった

野道峠

おはようからおやすみまでORRの道路調査報告書

当路線に、昔の名残はほとんど残されてはいない。旧道と化したどの峠道に至っても、拡幅改良に舗装済という所がほとんどだ。そのような中にあって舗装化を逃れ、今でも最古の姿を我々の目の前に晒し続ける野道峠に果たして国道時代の遺構を見つける事は出来るのだろうか?

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