ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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横座峠(2)

★★

 

横座峠の取扱説明書

県北の出水と鹿児島市内を結ぶ短絡路としてまず筆頭に挙げられるのが国道328号線で、東シナ海へと突き出る阿久根付近を避けて、内陸部を最短最速で連絡する峰越えルートとしてR328は多方面で重宝がられている。だが一昔前まで紫尾山を中心とする紫尾山系の壁を前に、往来する人々は長い間難儀を強いられ辛酸を舐めてきた。それはR328紫尾峠然り、R504堀切峠然り、県道の横座峠に至っては1996年の横座トンネルが開通するまで車道すら存在しないという有様であった。だが不思議な事に昔から出水側に限り県道は尾根筋までその足を延ばし、尾根伝いを縦走する紫尾林道へ取り付いていたという現実がある。地図上では未通とされるかつての横座峠は本当に未通であったのか、終着点はいったいどのようになっているのか等の疑問を解消すべく、問題の峠へと足を運んだ。

 

横座峠

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

手元にある九州管内の全ての地図をひっくり返しても、横座トンネル脇のひょろひょろ道が主要県道色の緑線でなぞられたものなどひとつも無かった。しかし現実に県道46号は尾根筋の紫尾林道へと接続し、その先の東郷さえも視野に入れている。パパイヤ並のアフロに包み込まれる尾根は眺望も利かず閑散としているが

横座峠

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所狭しと案内板等がひしめき合い、そこそこの賑わいをみせる。青看には阿久根の文字は見られるが、肝心の東郷方面には何も描かれていない。紫尾林道との接点は完全なるT字路で、行き場を失った県道46号はひとまず紫尾林道に吸収される。T字路を起点にその前後で東郷方面へと下る道が見つかるかも知れない。

横座峠

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まずは国道3号線まで15kmと案内のある西を目指す。木々の隙間から覗き見る阿久根方面は県道46号旧道と谷底を縫う現道の姿がはっきりと捉えられる。対して東郷側にこれといった道筋は確認できない。尾根筋とはいえ阿久根側に身を置く林道上から鞍を跨ぐような車道など有り得ない状況で、歩道サイズの小径さえ

横座峠

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見つからぬ有様であった。皆目見当のつかぬまま尾根筋を西へ進むと、道路脇に佇む一本の支柱が目に留った。そこには横座峠とある。切り通しでもなくサミットでもない、尾根直下を縦走する林道の一部分が峠と言われてもピンと来ないが、そこがこの界隈では最高所となる標高450mの横座峠なのだろう。余りにも想像と

横座峠

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かけ離れた横座峠の形状に言葉を失ったが、その前後にも車道の影すら見られず、とうとう県道345号下東郷阿久根線との分岐までそれらしい道筋は確認できなかった。残念ながら横座峠は旧来から車両の通過を許してはいなかったようだ。現在では阿久根東郷間が全通した県道345号線も、その昔は阿久根側が未通で

横座峠

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あった。旧来より阿久根側のみ尾根筋まで車道が通じていた県道46号線と、東郷側のみ尾根まで車道が通じていた県道345号線。そこで考えられるのが阿久根⇔県道46号⇔紫尾林道(横座峠)⇔県道345号⇔東郷という変則峰越えルートである。紫尾林道は全長26kmにも及ぶ基幹林道として昭和45年に全通している。

横座峠

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だが横座峠付近が旧来より車道として逸早く供用されていたとしても何等不思議でない。国道の紫尾峠と堀切峠が宮之城を目指すのに対し、東郷に的を絞った横座峠ルートには一定の需要が見込まれる。あくまで仮説の域は出ないのだが。

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