ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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大峠(4)

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大峠の取扱説明書

全国に大峠と名の付く峠は数あれど、最も名の知れた大峠とは福島と山形に跨るこの大峠を指すのだろう。決して派手な訳ではなく、現役時代はかなり地味な存在であったと伝え聞く。僕はこの峠の現役時代を知らない。大峠越えがいかに困難であったのか、旧道となった今では想像するしか手立てはないが、かつてこの道に車両が通っていた時代の再現を試みたい。と、これまでも幾多の勇者達がこの峠に挑み、そして散っていった。他聞に漏れず若かりし日の僕も大惨敗を扮し苦汁を舐めた。だがこのまま黙って引き下がる訳には行かない。狙った獲物は必ず仕留める。だがやってやれない事もある。負け戦と知りつつも男なら逝かねばならぬ散らねばならぬ大峠。道路に人生を捧げた男の生き様を見るがいい。

 

大峠(国道121号線)4-1/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

昭和の大改修を受けた大峠隧道は一部で表層が剥がれ落ち、今すぐどうこうという緊急事態ではないが、じっくりと長い年月をかけて、崩壊そして閉経への道を歩んでいる。勿論現在でも細々とではあるが使われている道なので、何等かの施しは受けるだろが、完全閉経してしまうほどの酷い落盤が発生した場合はどのような措置が講じられるのかは素人では全く想像が付かない。

大峠(国道121号線)4-2/ORR

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土砂を避けて再開通するにしても再発のリスクは常に付き纏うだろうし、予算との兼ね合いもあろう。最近では現道の真隣に歩道トンネルを突く位だから、車両1台分のミニトンネルを突いた方が安全面でも費用面でもベストなのかも知れない。大峠隧道の完全閉経という最悪の事態は何とか避けたい所ではあるが、こればかりは現役を退いた道であるが故に、抜本的な処理を望む事も

大峠(国道121号線)4-3/ORR

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叶わぬ夢であり、大規模な落盤はすなわち大峠の歴史にピリオドを打つ事に他ならない。今は昭和の大改修を受けたものとは言え、それは先代を拡幅改良したものであるから、掘削当時の空間を抜けている事に変わりはないのだ。しかし閉経して隣に新しくトンネルを突いたとしたら、それは大峠トンネルとは何の関わりも持たない土地の管理者専用の単なる平成トンネルに過ぎない。

大峠(国道121号線)4-4/ORR

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そうなれば我々の興味も半減以下で、長いアプローチを経てまで拝みに来たいような派手な装飾を施されていない大峠隧道の閉経はひとつの時代に幕を閉じる事を意味している。抜けてこその大峠である。ここまで来てピストンはまっぴらご免だ。とは言いつつも僕は世紀を跨ぎ数回に渡り跳ね返され、大峠隧道は嫌というほど潜り抜けてきた。そしてこの旧道に定期バスが運行されて

大峠(国道121号線)4-5/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

いた事実を知った今、もう少し大峠隧道には頑張ってもらいたいと思うようになった。決して楽とは言えないガタボロの砂利道をいったいどれほどの時間をかけて走り抜けていったのだろうか?激しく揺れ動く車窓から人々は今とほとんど変わる事のない同じ景色を眺めていたに違いない。乗客は窓越しに見る景色に何を思い、峠の先に何を夢見て大峠を越して行ったのだろうか?もう一度

大峠(国道121号線)4-6/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

気持ちをフラットにして大峠へ挑みたい、僕は素直にそう思った。昭和になって大改修を受けた事、定期バスが走っていた事、それらの事実を把握していなかったばかりに、激しく大峠に対し誤解をしたまま取材を慣行した事に、今更ながら後悔しきりである。しかしこの道が逃げる事はない。大峠隧道が無事である限り、何度でもリベンジは可能だ。大峠隧道よ、それまで無事でいてくれ。

大峠(国道121号線)4-7/ORR

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隧道を抜けると斜めのT字路になっている。右は正体不明の砂利道で左が旧道だ。T字路にガードレールは設置されておらず、勢い余れば天国直行の派手なダイビングが期待できる。僕は隧道を背にし目の前に広がる絶景を目に焼き付けると、迷わず左折し旧道の正確なトレースを試みた。

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