ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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大峠(8)

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大峠の取扱説明書

全国に大峠と名の付く峠は数あれど、最も名の知れた大峠とは福島と山形に跨るこの大峠を指すのだろう。決して派手な訳ではなく、現役時代はかなり地味な存在であったと伝え聞く。僕はこの峠の現役時代を知らない。大峠越えがいかに困難であったのか、旧道となった今では想像するしか手立てはないが、かつてこの道に車両が通っていた時代の再現を試みたい。と、これまでも幾多の勇者達がこの峠に挑み、そして散っていった。他聞に漏れず若かりし日の僕も大惨敗を扮し苦汁を舐めた。だがこのまま黙って引き下がる訳には行かない。狙った獲物は必ず仕留める。だがやってやれない事もある。負け戦と知りつつも男なら逝かねばならぬ散らねばならぬ大峠。道路に人生を捧げた男の生き様を見るがいい。

 

大峠(国道121号線)8-1/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

単車1台分の幅を僅かに残し、旧道は首の皮一枚で繋がり、何とか道路としての面目は保っていた。人力では修復し難いまでに崩壊してしまったこの箇所は、一般林道しか走った事のない人にとってはまさに命懸けの区間だ。僕も正直チビった。ただそこを抜けるだけなら一瞬で済む。しかしそこは何としても記録に留めておきたい。その執念で危険箇所のど真ん中にて停車し、単車を崖下へ

大峠(国道121号線)8-2/ORR

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滑落しないように立たせておき、素早く前方へ回り込んで撮影し、慌てて戻ると即再スタートさせ危険箇所から離す。この一連の工程時間が長引けば長引くほどリスクは高まる。単なる突破であれば怖え〜程度で済むが、その怖え〜箇所で停車し、単車も自身も崖下へ落ちないようにして、慎重に降りる瞬間が最も恐ろしいのである。またその逆も然り。最初の難関を乗り切ると前方には

大峠(国道121号線)8-3/ORR

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それまでと変わらぬ穏やかな路面状況が続いていた。法面の赤茶けた落石防護柵はよじれながらも旧道を保護している。元々が赤茶色なのかそれとも錆びてしまったからなのかは分からない。しかし今では大峠を語る上で、この赤茶けた鉄骨は外せない。何故ならば大峠旧道を通行不能に追い込んだ張本人が、本来旧道を守るべきはずのこの鉄骨だからだ。間もなくその決定的場面に

大峠(国道121号線)8-4/ORR

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到達する。左へと大きくカーブを描くと、もうその後に大峠の姿は見えない。変わって背後には山肌に引っ掻き傷のように走る鉱山道路がどこまでも延びているのが分かる。もうすぐ一般的には車両による通行が不可能とされる地点から見た鉱山道路は魅力的に映る。あちらはこの旧道と違って恐らくダート三昧であろう。僕も砂利道大好き類人猿の一人として、谷を挟んだ向い側の道が大峠の

大峠(国道121号線)8-5/ORR

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メインディッシュのように感じられる。何で無理と分かっている道にわざわざ膨大な時間をかけて突っ込まねばならぬのか、今更ながら実にアホらしい。鉱山道路に一歩足を踏み込めば、そこはダート天国だ。まるで水を得た魚のように走り捲るだろう。それとは激しく対極に位置する大峠旧道に僕が納得できる事は、突破以外に考えられない。恐らく読者の多くがそれを期待しているだろうし、

大峠(国道121号線)8-6/ORR

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僕はそれに報いたいと思ってこの地へやってきた訳だし、出来る限りの事はするつもりだ。だが残念ながら世の中にはやってやれない事もある。もうほとんどの方は知っているだろう、この峠に車両を通せない事を。それは僕自身これまで数回に渡り、ことごとく失敗に終わってきた事からも、天変地異でも起きない限り、覆す事は出来ないのだ。たったひとつの方法を除いては。そう、たった

大峠(国道121号線)8-7/ORR

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ひとつの方法。その日ORR基地から人知れず緊急発射された大陸間弾道ウザイルはNASAの衛星網を掻い潜り、時速60キロの超低速超低空飛行にて北上を開始していた。そして今大峠に着弾した。炸裂かそれとも不発に終わるのか、ORRの威信を懸けた闘いの火蓋は切って落とされた!

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