ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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大峠(9)

★★★★★

大峠の取扱説明書

全国に大峠と名の付く峠は数あれど、最も名の知れた大峠とは福島と山形に跨るこの大峠を指すのだろう。決して派手な訳ではなく、現役時代はかなり地味な存在であったと伝え聞く。僕はこの峠の現役時代を知らない。大峠越えがいかに困難であったのか、旧道となった今では想像するしか手立てはないが、かつてこの道に車両が通っていた時代の再現を試みたい。と、これまでも幾多の勇者達がこの峠に挑み、そして散っていった。他聞に漏れず若かりし日の僕も大惨敗を扮し苦汁を舐めた。だがこのまま黙って引き下がる訳には行かない。狙った獲物は必ず仕留める。だがやってやれない事もある。負け戦と知りつつも男なら逝かねばならぬ散らねばならぬ大峠。道路に人生を捧げた男の生き様を見るがいい。

 

大峠(国道121号線)9-1/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

いつもならカッコ良く飛び跳ねてサラリと抜けたいシーンではあるが、今回ばかりはそうもゆかなかった。てゆうかだな、我々も土砂崩れなどの自然災害相手なら充分燃えるのだが、これは明らかに人為的なミスである。道路を完全に塞いでしまっているのは押しも押される人工物、その名は赤い鉄骨のシャアだ。このシャアアズナブルセクションこそ、四輪だけでなく全てのエンジン駆動車を

大峠(国道121号線)9-2/ORR

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完全シャットアウトし、大峠を完全なる廃道へと追いやった張本人なのである。本来は落石から旧道を守るはずの落石防護壁そのものが、旧道よりも先に逝っちゃってしまっているからさあ大変。激しい土砂崩れの跡は確認できないので、小規模の土砂崩れによって若干傾いた赤い鉄骨のシャアは、長い歳月をかけて今の状態にまで傾いてしまったのだろう。まるで爆弾が投下され爆風に

大峠(国道121号線)9-3/ORR

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より一瞬にして捻じ曲げられたような形状のシャアアズナブルは見事なまでに旧道の全面を覆っていた。なかなか見る事のない凄惨な現場で、広島平和記念館で見た被爆直後の様子を連想させた。これほどまでに鉄骨を捻じ曲げてしまうものの正体とはいったい何だろう?因みに単車を載せた所でビクともしないのだ。嗚呼それなのにグニャグニャに曲げられた鉄骨はとても人間業とは思えない

大峠(国道121号線)9-4/ORR

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強靭な力で、ここまで無惨な状態にされたのである。現場には大量の土砂がある訳でもなく、ただ鉄骨だけが連続して倒れているのだ。そこに犯人が残した遺留品は一切見付けられない。現場にひとつも証拠を残さずに立ち去った凶悪犯。まさに完全犯罪である。そして人々が忘れた頃にまた静かにやってきて、このビクともしないはずの鉄骨をゆっくりと長い時間をかけて捻じ曲げてゆくのだ。

大峠(国道121号線)9-5/ORR

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我々は人知を超えたそのパワーに恐怖した。だがここまで来て撤退する訳にはゆかない。初めはエンジン駆動を利用して、何とか前進を試みた。しかし鉄骨は微妙な高さとピッチで我々を苦しめた。路面に横たわる鉄骨は丁度単車がピッタリ納まるサイズで、皆様のお越しを心よりお待ち申し上げておられたのである。これには参った。最初の鉄骨へ勢い任せに乗り上げた所で、次のマスでは

大峠(国道121号線)9-6/ORR

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助走ゼロに等しく、スピードが極度に殺されるだけでなく、クランクケースにももろにヒットしてしまうのだ。こんな事を繰り返していたら、クランクケースが割れてオイル漏れにて走行不能に陥ってしまう。仕方なく我々は人力にてゴリ押しするしかなかった。これがキツイったらありゃしない。鉄骨が完全に地上に倒れきっていればまだ救われたのだが、これが微妙に浮いているのだ。本来は涼しい

大峠(国道121号線)9-7/ORR

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はずの山頂付近で、汗ダラダラになりファイト一発状態の男二人。このセクションだけでいったいどれほどの時間が割かれたのだろう。時間だけではなく体力の消耗も著しく、持参した飲料水はみるみるうちに減ってゆく。ここが最大の難関であればまだ救われるのだが、そうは問屋が卸さない。

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