ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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大峠(14)

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大峠の取扱説明書

全国に大峠と名の付く峠は数あれど、最も名の知れた大峠とは福島と山形に跨るこの大峠を指すのだろう。決して派手な訳ではなく、現役時代はかなり地味な存在であったと伝え聞く。僕はこの峠の現役時代を知らない。大峠越えがいかに困難であったのか、旧道となった今では想像するしか手立てはないが、かつてこの道に車両が通っていた時代の再現を試みたい。と、これまでも幾多の勇者達がこの峠に挑み、そして散っていった。他聞に漏れず若かりし日の僕も大惨敗を扮し苦汁を舐めた。だがこのまま黙って引き下がる訳には行かない。狙った獲物は必ず仕留める。だがやってやれない事もある。負け戦と知りつつも男なら逝かねばならぬ散らねばならぬ大峠。道路に人生を捧げた男の生き様を見るがいい。

 

大峠(国道121号線)14-1/ORR

道ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

かれこれ15年くらい前の話になってしまうが、長野と岐阜の県境に安房峠という強烈な峠道が存在した。南下すればつい先頃一般車両通行禁止となった乗鞍スカイラインに映画「ああ野麦峠」でお馴染みの野麦峠が、北上すればそこに車道は存在せず、再び車道を拝むには遥か彼方親不知まで行かねばならぬという、いわゆる北アルプスを越す車道の最北限に位置するのが3桁国道

大峠(国道121号線)14-2/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

安房峠である。存在したという過去形で表現したのは勿論その直下にトンネルが突かれ、事実上旧道と化したからである。最も有料道路である安房峠道路に対し安房峠を旧道と見る否かは判断の分かれる所であると思うが、ほとんどの車両はトンネルを通過して行くのでここでは旧道と定義する。その安房峠の九十九俺は最狭部が1.5車線幅で、センターラインも引けないような狭い2車線

大峠(国道121号線)14-3/ORR

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幅とが交互に現われ、見通しの悪いトラバース区間と九十九俺で構成される鬼のような峠道であるのだが、これが交通量の少ない単なる山道であったならば騒ぐほどのものではない。しかしそこは上高地を筆頭に百名山がズラリと並び、中高年のお手軽ハイカーから本格的な北アルプス縦走の登山家までもが集結する、登山愛好家のメッカなのだ。しかも日本有数の大温泉地帯でもあり、

大峠(国道121号線)14-4/ORR

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温泉目的や単なるドライブやツーリングなどで訪れる人も合わせると、シーズン中は尋常でない数のホモサピエンスが押し寄せるのだ。しかも関東圏と関西圏の両方から丁度いい位置にあるものだから、ほとんど民族大移動の如し東西から大量の類人猿が雪崩れ込んでくる。そうなると長野の山奥で飛び交う言葉は標準語か関西弁が圧倒的優勢となり、ほとんど他民族に占拠されたような

大峠(国道121号線)14-5/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

状態になる。勿論マイカーでやって来るのも多いのだが、そこは日本有数の観光地。観光地と言えば観光バス、観光バスと言えばジジババダンサーズ。もうお分かりだろう、ジジババダンサーズをしこたま積んだ観光バスが高山方面と松本方面の両方から極狭の安房峠を目指してわんさと押し寄せてくるのだ。そこで僕は見たんだ。1.5車線の断崖時で大型観光バス同士がミラーを閉じ、尚且つ

大峠(国道121号線)14-6/ORR

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ガイドのお姉ちゃん同士の誘導を持ってしても、ガードレールと法面のコンクリにボディを擦っている姿を。トンネルが開通した現在では見る事に出来ない貴重なシーンであるが、その光景は強烈に焼き付いていて、今でも鮮明に思い出す在りし日の出来事である。マイカーとバスやタクシーが数珠繋ぎになる大渋滞を、2時間近くかけて峠を越えたのも今は昔。当時はうんざりであったが、今と

大峠(国道121号線)14-7/ORR

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なっては貴重な経験である。安房峠の曲芸に近い芸当と比較すれば、大峠旧道を走っていた現在よりもずっと小さめであった当時のバス同士が、運転手或いは乗務員の判断で離合ポイントを押さえ、うまく捌いていた可能性も見えてくる。と同時に当路線が危険な道であった証拠を遂に捉えた。

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