ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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大峠(15)

★★★★★

大峠の取扱説明書

全国に大峠と名の付く峠は数あれど、最も名の知れた大峠とは福島と山形に跨るこの大峠を指すのだろう。決して派手な訳ではなく、現役時代はかなり地味な存在であったと伝え聞く。僕はこの峠の現役時代を知らない。大峠越えがいかに困難であったのか、旧道となった今では想像するしか手立てはないが、かつてこの道に車両が通っていた時代の再現を試みたい。と、これまでも幾多の勇者達がこの峠に挑み、そして散っていった。他聞に漏れず若かりし日の僕も大惨敗を扮し苦汁を舐めた。だがこのまま黙って引き下がる訳には行かない。狙った獲物は必ず仕留める。だがやってやれない事もある。負け戦と知りつつも男なら逝かねばならぬ散らねばならぬ大峠。道路に人生を捧げた男の生き様を見るがいい。

 

大峠(国道121号線)15-1/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

路面の割れ目に植物が根付き、放置された倒木が行く手を塞ぐ。また単車と同等の重量がありそうな石が無造作に転がっていた。ほとんどは数日間に渡って降り続く長雨や、台風などによってもたらされたものであるとは思う。もしここが現道であるならば、それらは即撤去されるだろうから、よくある3桁国道という感じであろうが、今我々の目の前に広がっている、ここ何年もの間蓄積されて

大峠(国道121号線)15-2/ORR

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きた本来あるべきではない異物の集大成で、その光景は廃道以外の何者でもない。久しく見るガードレールという安心感を与えるアイテムも、落ち葉やら土砂やらが堆積しアスファルトが見えない路面の前では何の効力も無く、今ではオブジェに過ぎない。アスファルトが割れて路肩が決壊している箇所も出現し、もはやこの道が崩壊へのカウントダウンを刻んでいるのは明らかで、残念だが

大峠(国道121号線)15-3/ORR

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我々はその事実を受け入れざるを得ない。修繕する可能性のある場所に見られるピンクテープの類はそこでは見られず、単車やMTBでさえも通行不可能となる日はそれほど遠い先の話ではなく、このままでは極めて近い将来現実のものとなるだろう。何とかタイヤ1本分でも残してくれるといいが、道床ごとそれも抉るようにしてごっそりと路面が消失した時こそ、長らく続いた大峠の歴史に幕を

大峠(国道121号線)15-4/ORR

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閉じる事になる。それでも勇敢な者は切り拓いてでも突破を試みるのかも知れない。板を架けてでも車両を通そうとする輩が現れるやも知れぬ。或いはロープで宙吊りにして対岸へと渡すのもアリだろう。いずれにしても我々が越えた鉄骨の区間は、今回前例を作った以上今後は当たり前のように越して行く事になろう。それも乗車したまま突破するなんていうパフォーマンスも見られるのかも

大峠(国道121号線)15-5/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

知れない。当報告書で良く分かったと思うがORRにはテクも特別な術もないのだ。あるのはかつて車両が通っていた時代と同じ状況下に身を置き、どのような心境で先人達は峠を越していったのかを自身の肌で感じたい、そしてそれをうまく伝えられたならば言う事はない。勿論当時通行していた人達の思いだけでなく、現在通行するとこんなん出ました!ってのも大事であり、その為に必要な

大峠(国道121号線)15-6/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

事はたったひとつ、気合である。但しそれも長く続くものではなく、行くべきか行かざるべきか判断に迷うような場面が断続的に続くようでは流石に持たない。カーブを曲がるたびに見えない先に決定的な場面が待ち受けているのではないかと不安との葛藤が続いた。もしこの先にどうにもならないような場面に出くわせば、今来た道を戻らねばならない。鉄骨の悪夢が頭を過ぎる。悪寒が

大峠(国道121号線)15-7/ORR

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した。それだけは何としても避けたい。我々は神に祈った。お前が〜お前が〜!その願いはどうやら通じたようだ。山形側から一般車両が進入可能な限界地点へ遂に我々は辿り着いたのだ。我々はゲートの前で無邪気な子供のようにはしゃいだ。このゲートがいかに強固な物であるとも知らずに。

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