ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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大峠(16)

★★★★★

大峠の取扱説明書

全国に大峠と名の付く峠は数あれど、最も名の知れた大峠とは福島と山形に跨るこの大峠を指すのだろう。決して派手な訳ではなく、現役時代はかなり地味な存在であったと伝え聞く。僕はこの峠の現役時代を知らない。大峠越えがいかに困難であったのか、旧道となった今では想像するしか手立てはないが、かつてこの道に車両が通っていた時代の再現を試みたい。と、これまでも幾多の勇者達がこの峠に挑み、そして散っていった。他聞に漏れず若かりし日の僕も大惨敗を扮し苦汁を舐めた。だがこのまま黙って引き下がる訳には行かない。狙った獲物は必ず仕留める。だがやってやれない事もある。負け戦と知りつつも男なら逝かねばならぬ散らねばならぬ大峠。道路に人生を捧げた男の生き様を見るがいい。

 

大峠(国道121号線)16-1/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

という訳で我々は何とか大猿倉沢橋に設置されたゲートの突破に成功した。既にその模様を余す事なく収めたレポートは完成しているのだが、検討に検討を重ねた結果公の場に出すべきではないとの結論に至り、ORR初の禁断のレポートとして後日カムイにのみに公開させて頂く運びとなった。ここまで下ってきて昭和の大改修を受けた大峠に、魅力的な道路構造物は全くと言っていい程

大峠(国道121号線)16-2/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

見られなかったが、大猿倉沢橋に至って遂に歴史的価値のあるものに出会った。古めかしい欄干である。パッと見寄り掛かると崩れ落ちてしまいそうなほど表面が風化した欄干の姿形は、昭和初期から中期にかけての懐かしさ漂う風貌で、まさに大猿倉沢橋は昭和レトロである。路面がアスファルトであるのが残念であるが、欄干を改修せずにいてくれたのはラッキーと解釈すべきだろう。

大峠(国道121号線)16-3/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

大猿倉沢橋から先は何度か通った馴染みの道で、この先は何も心配する事は無く、それまでの憂鬱な気分はどこへやら、鼻歌交じりのルンルン気分で軽快に滑り降りる。大猿倉沢橋のゲートの内と外とではまるで別世界であった。廃道区間との差は歴然で、それまで当たり前のように転がっていた倒木や落石は影を潜め、せいぜい邪魔にもならない程度の落ち葉が堆積しているだけで

大峠(国道121号線)16-4/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

人の手が入るのと入らないのではここまで違うものなのかという現実を、まざまざと見せ付けられた。ゲートより先は気持ち幅員も広めになり、ガードレールも多用されているのが分かる。またおにぎりが現役時代のまま傾く事なく直立不動で現存していたのは頼もしい限りだ。ゲートより先は明らかに人の手が入っていて、旧道というよりも現道なのではないかと錯覚してしまうくらい、良く

大峠(国道121号線)16-5/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

整備された路面状況が続いた。廃道を抜けてきた直後だからどのような道であろうとも良く見えるのだが、それを差し引いても安心感に満ちた道程が続いた。現在でも何等かの理由で使われているであろう旧道は、抜本的な改良が行われる事はなく、路面上に落ちているものは退かしましょう程度の現状維持で保たれている。だいぶ標高を下げてきたとは言え、ガードレールが雪の重みで

大峠(国道121号線)16-6/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

破損している箇所も見られ、この辺一帯がいかに豪雪地帯であるかをそれらは物語っていた。再び現れた昭和レトロな橋の欄干はそんな雪の重みに半世紀以上も耐え、現在に至って尚健在であるのは驚愕とも言える。大猿倉沢橋同様に一部は破損しているものの、我々が衝撃を加えた程度ではびくともせず、100年は楽勝で持ち堪えるのではないかという力強い手応えを感じた。まもなく

大峠(国道121号線)16-7/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

旧道は終点を迎えるが、山形側にはゲートが二つ設置されている。とっくに気付いておられると思うが、大峠を攻略するにあたって我々は装備の全てを予め取り外している。道具はまとめて山形側の第一ゲート前に置き、大峠トンネルを抜け福島側から侵攻したのだ。間もなく我が道具との対面だ。

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