ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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厚雲隧道()

★★★★

 

厚雲隧道の取扱説明書

土地の形状や寒冷地やどの諸条件によって峠直越えが大半を占める北海道において、山中のそれもたいした交通量のない道道の峠に、珍しく隧道で突かれた峠がある。正確な峠の名称は定かでないが、名称が厚雲隧道とされている事から厚雲峠としたが、新トンネルには山蕗の名が冠されている事から一筋縄ではゆかなそうだ。もっとも正確な名称を掴むとか、歴史的な事を掘り起こそうなどという気はさらさらないのだが。歴史の闇に葬り去られた厚雲隧道にかつて車両が通っていた事を証明し、直接手を合わせ報告書にて供養できればそれでいい。

 

厚雲隧道2

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見れば向こう側の明かりが漏れている。厚雲隧道は落盤などなく今すぐにでも使えそうな状態を保っていた。やはり今でも管理されているのだろうか?僕は向こうの明かりを目指して薄暗い坑内を歩き始めた。幸い両側から明かりが漏れている為、真っ暗という訳ではなかった。しばらくするとだいぶ目も慣れてきた。カツカツ、カツカツ。自身の靴音だけが静寂な坑内に響き渡る。

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出口が近づくにつれ、坑内には何も再利用された跡がない事が明らかとなった。隧道を封鎖する為だけのシャッターなのか?それにしては妙だ。何故両坑口共に路面から30cm程度の隙間が開いている?何か理由があるのか、それとも第三者によってこじ開けられたのだろうか?まだ見ぬ向こう側の景色に期待しつつ僕の頭の中には突破の二文字が踊っていた。さあ見せてくれ、その先の道を。

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シャッターの下から覗き込む。そこに見る世界は整備もくそもない、上り同様緑一色の世界が広がっていたのだ。坑内から続いていたコンクリの路面も外界の空気に触れると、一瞬にして砂利道へとその姿を変え、そこは一面薮の海と化していた。これが僅か数年前まで現役で使われていた主要2桁道道だっただあ?とても信じられるものではないが、僕は現役時代を知らない。

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よって比較のしようがないのだが、もっと信じられないのは、現役時代にここを通った人達だろう。一旦人の手を離れると、たった数年でこうも自然に還ってしまうのだ。凄まじい自然の回復力に個人の力では手も足も出ない。いつの日か道は崩れ、倒木に阻止されここへ辿り着くのも困難となる時期が来るだろう。ほとんど道らしき道を失った先に、この立派な隧道を見た未来人はいったいどう思うのだろうか?

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歩いて登るのもままならないような山中に、突如現れる巨大な隧道。多分おったまげるに違いない。単なるコンクリ隧道であるが、時代も変わり昭和レトロとやらで、再び脚光を浴びないとも限らない。ただこの峠道は非常に淡白である。主要2桁道道とは言え、場所柄重要な路線とも思えず、ましてやそこからは歴史云々という匂いなど全く漂って来ない。

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隧道ある所に旧道ありの鉄則に従えば、この上を跨ぐ峠道があったとしても何等不思議ではない。しかし旧道自体が薮に埋もれてしまった現在その道を見つけ出すのは非常に困難だ。それにこの道には車道の峠道は恐らく存在しないだろう。道中にはそれらしき枝道は無かったし、登山道に毛が生えたような道の後に付けられたのが、この旧道であると現場の状況からは判断した。

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さてシャッターを開けて通り抜けるとしましょうか。ある程度開いているから軽く開くと思ったが、これがどうして全然上がらないし下がりもしない。意図的に固定されているのか錆びているからなのかは分からないが、ビクともしないのだ。え〜マジすか、戻りすか?とぼやきながら歩いた先に僕はトンデモナイものを見た!

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