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www.henari1.jp ORRの道路調査報告書 ODA ROAD RESEARCH

〜道路格闘家へなりと闘う鉄馬ヘナリワンの軌跡〜

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第5号洞門(国道339号線龍飛崎)

第5号洞門1byORR

◆三厩側より望む洞門の全景

ここは津軽半島の突端に位置する宇鉄という鄙びた漁村で、三厩を最後に息切れする形で終着駅を迎える本州最北の鉄道JR津軽線三厩駅より、バスに乗り換えてやっとこさ辿り着ける僻地にある。

この路の先には演歌の女王石川さゆりの津軽海峡冬景色ですっかり全国区となった龍飛崎が控え、三厩から岬までは15kmの渚ドライブウェイとなる。

よっぽど爽快な道が続くのかと思いきや、実はそうでもない。

第5号洞門2byORR

◆大型車同士の内部離合を許すも4mの高さ制限有り

漂う空気は湘南のそれとは180度異なり、同じはずの空気が何故かここでは一割増しで重く感じるのである。

時折護岸のテトラを激しく叩き付ける波飛沫も、何となく小節を効かせているようにも聞こえ、まるで演歌の世界に迷い込んだかのようなうら寂しい空気に現場は支配されている。

三厩湾の先、津軽海峡を挟み対岸に浮かぶ近くて遠い異国情緒溢れる北の大地とは対照的に、本州の北端それも市街地とは隔絶する未開の地という地理的な条件が、何となくうら寂しい雰囲気を醸し出しているのだろう。

第5号洞門3byORR

◆標識には梨ノ木間1号の名称

一箇所に人口が集中する都市部と異なり、この界隈ではぽつりぽつりと小さな集落が分散する形で点在し、各戸の絆はそれなりに深いのであろうが、喧騒とは無縁だ。

そうした海岸線に散見される村々を繋ぐ国道には幾つもの障害があり、その昔は海岸線を伝い隣の村まで行く事も難儀したであろう事は想像に難くない。

文明の利器により現在は大方の障害が取り除かされているが、難所の克服は一時代前の技術によるもので、その容姿はとても褒められたものではない。

第5号洞門4byORR

◆歪な形状の洞門

けしてスマートとは言い難い歪な形状の隧道が、国道339号線のトンネルとしていまだに成立している点も、悲壮感に拍車をかけているような気がしてならない。

竜飛崎人気の火付け役となったのが昭和52年に発表された石川さゆりの「津軽海峡冬景色」で、その時点において国道339号線は、小泊と龍飛の間の山岳部をうねるようにして繋ぐ龍泊ラインが未開通のままであった。

現在の津軽半島は周回が可能であるが、昭和の晩年まではどの車も例外無くこの道の往復を余儀なくされた。

第5号洞門5byORR

◆銘板

津軽海峡冬景色のヒットによって一躍脚光を浴び、龍飛崎が爆発的な集客数を誇るようになった後も、国道の全通までは7年も待たねばならなかった。

その時分も、そしてそれ以前からこの界隈の陸上交通を一手に引き受けていたのが、第5号洞門である。

世間で一大ブームが巻き起こっているとも知らずに、この洞門は来る日も来る日も大量の車両を呑み込み、そして吐き出した。それが与えられた任務であるとはいえ、増大の一途の車両群を捌くのにも限界がある。

第5号洞門6byORR

◆龍飛側より望む洞門

かくて第5号隧道は時代の要請に応えるべく、洞内で大型車同士が離合可能な規格へと拡幅された。現存する同路線の隧道群と比すれば、第5号隧道の巨大さは桁外れであり、後年に拡幅された可能性が極めて高い。

現時点で第5号隧道の拡張時期は特定できていないが、改修時期が昭和52年以降国道全通以前となると、津軽海峡冬景色が洞門拡張に直接的な影響を与えたとしても何等不思議でなく、もしもそうならば石川さゆり様様である。

第5号洞門7byORR

◆海に垂れ込める岩塊を刳り貫いた第5号洞門の全景

名称が隧道ではなく洞門、それも数字のみ配されるイレギュラーな点、それに前後を予感させる番号と合わせ、当路線に点在する隧道群を掘り下げてみる価値は充分ありそうだ。

この時点において第5号洞門は、国道339号線に点在する一短隧道のひとつに過ぎず、海岸に就き出した岩塊を砕いた平凡な隧道という認識に過ぎない。

だが後にこの洞門が国道トンネル以上の意味を持つ重要な隧道である事が判明し、第5号洞門が津軽半島隧道物語の序章に過ぎない事を知るのである。

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 第5号洞門のプロローグ

 第5号洞門の旧版報告書

 第5号洞門を地図で確認

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